KO5-012|公共・倫理 対策問題
夏目漱石の思想の説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正解
日本の開化を外発的と批判し、他人本位を脱して自己本位に立つことの必要を説いた
この問題のポイント
漱石の文明批評と自己本位の理解を問う。内発的開化と外発的開化の対比、和辻哲郎や内村鑑三との人物の区別が判断の軸。
解説
夏目漱石は明治から大正にかけての作家であり、日本の近代化を鋭く見つめた文明批評家でもあった。
講演「現代日本の開化」で漱石は、西洋の開化が内部の必要から自然に発展した内発的なものであるのに対し、日本の開化は外からの圧力によって急がされた外発的なものであると論じた。その結果、日本人は自分のものにならない開化を追いかけ、皮相上滑りの開化に陥っていると批判した。
ロンドン留学中に神経を病むほど苦しんだ漱石は、他人の評価や西洋の基準に従う他人本位の生き方を捨て、自分の内面の要求に基づいて生きる自己本位に立つことで、初めて足場を得たと語っている(講演「私の個人主義」)。それは利己主義ではなく、自他の個性を等しく尊重する個人主義であった。
晩年には、小さな私を去って自然の道理に従う則天去私の境地を求めたと伝えられる。
ひっかけポイント
内発的と外発的の対比を逆にする選択肢が定番。間柄的存在は和辻哲郎、無教会主義は内村鑑三で、近代日本の思想家の看板概念の入れ替えに注意。
選択肢の確認
①「無教会主義を唱え、教会や儀式によらない信仰を説いた」
❌ 誤り。
誤答理由: 無教会主義は内村鑑三の立場で、教会制度によらない信仰を説いたもの。文学者漱石の思想ではない。
②「日本の開化を外発的と批判し、他人本位を脱して自己本位に立つことの必要を説いた」
✅ 正しい。
正解。漱石は講演「現代日本の開化」で日本の開化を外発的・皮相上滑りと批判し、他人本位を捨てて自分の内面的要求に立脚する自己本位の生き方を説いた。
③「日本の開化は西洋と同じく内発的に進んだ理想的なものだと評価した」
❌ 誤り。
誤答理由: 漱石は日本の開化を内発的な西洋の開化と対比し、外圧に急かされた外発的なものと診断した。内発的で理想的という評価は正反対である。
④「人間を個人と社会の二重性をもつ間柄的存在としてとらえた」
❌ 誤り。
誤答理由: 間柄的存在は倫理学者和辻哲郎の人間観である。近代日本の思想家の看板概念の入れ替えに注意。
覚えるポイント
- 日本の開化は外発的で皮相上滑りと批判
- 他人本位を脱して自己本位へ、利己主義とは区別
- 晩年は則天去私の境地を求めた
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。