RN8-007|公共・倫理 対策問題
ヤスパースのいう限界状況の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 1
正解
死・苦悩・争い・罪責のような、人間が変えることも避けることもできない状況
この問題のポイント
ヤスパースの限界状況の定義を問う。死・苦悩・争い・罪責という4つの例と、乗り越え不可能という性格がポイント。
解説
ヤスパースは20世紀ドイツの実存主義の哲学者である。彼は、人間が生きるうえでどうしても突き当たる、変えることも避けることもできない壁を限界状況と呼んだ。その代表が死・苦悩(苦しみ)・争い・罪責(罪)である。
人はふだん、科学の知識や日常の工夫で問題を処理して生きているが、限界状況だけは技術や計算では処理できない。ここで人間は自己の有限性を思い知らされ、深い挫折を経験する。
しかしヤスパースによれば、この挫折こそが転機である。限界状況を誠実に引き受けるとき、人は自己と世界を包み支える超越者(包括者)の存在に気づき、本来の自己、すなわち実存に目覚めるのである。さらに実存に目覚めた者同士が、互いに誠実にぶつかり合う実存的交わりも重視された。ナチスに大学を追われながら思索を続けた彼の人生とも重なる思想である。
ひっかけポイント
限界状況は努力や技術で克服できる困難ではない点が定義の核心。日常への埋没はハイデガーのひと(ダス・マン)の説明であり、混同しないこと。
選択肢の確認
①「死・苦悩・争い・罪責のような、人間が変えることも避けることもできない状況」
✅ 正しい。
正解。限界状況とは死・苦悩・争い・罪責のような、人間の力では変えることも避けることもできない状況を指すヤスパースの概念である。
②「科学技術の進歩によっていずれ克服される社会的な困難」
❌ 誤り。
科学技術や努力でいずれ克服できる困難は限界状況ではない。乗り越え不可能であることがこの概念の核心である。
③「世間の平均的なあり方に埋没して自己を見失っている状態」
❌ 誤り。
世間の平均的なあり方への埋没はハイデガーのひと(ダス・マン)の説明であり、ヤスパースの限界状況とは別の概念である。
④「快楽を追求し尽くした末に訪れる倦怠の状態」
❌ 誤り。
快楽の果ての倦怠はキルケゴールの美的実存の破綻の描写に近く、限界状況の定義ではない。
覚えるポイント
- 限界状況=死・苦悩・争い・罪責
- 限界状況での挫折を通じて超越者に出会う
- そこで本来の自己(実存)に目覚める
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。