RN8-035|公共・倫理 対策問題
デリダの脱構築の説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正解
西洋哲学を支えてきた二項対立の階層的な秩序を、内側から問い直して揺るがす試み
この問題のポイント
デリダの脱構築の内容を問う。二項対立とその優劣の序列を内側から解体する、という方法の性格をつかめているかが決め手。
解説
デリダは20世紀フランスの哲学者で、ポスト構造主義を代表する思想家である。
彼によれば、西洋の哲学は、理性と感情、精神と身体、話し言葉と書き言葉、男性と女性といった二項対立の枠組みで物事を捉え、そのつど一方を本質的で優れたものとし、他方を派生的で劣ったものとする階層的な秩序を作ってきた。たとえば、話し言葉こそ真意を直接伝えるものとされ、書き言葉はその代用品と貶められてきた。デリダは、理性(ロゴス)と、それを直接伝えるとされる話し言葉を特権化してきたこうした思考をロゴス中心主義(音声中心主義)と呼んで批判した。
脱構築とは、こうした対立と序列を外から否定するのではなく、テキストを丹念に読み解き、その内側のほころびを手がかりに、優劣の秩序が実は自明でないことを示して組みかえていく方法である。劣位に置かれた項が、実は優位の項を支えていることが明らかにされる。
この方法は、西洋中心・男性中心といった思考の枠組みを問い直す視点を提供し、哲学だけでなく文学批評や政治思想にも広い影響を与えた。
ひっかけポイント
脱構築は破壊でも体系の完成でもなく、二項対立の序列を内側から問い直す方法。対立の固定・強化は正反対の記述である。
選択肢の確認
①「哲学の諸体系を統合して、完全で最終的な体系を打ち立てる試み」
❌ 誤り。
完全で最終的な体系の構築はヘーゲル的な志向であり、体系のほころびを読み解く脱構築と正反対である。
②「二項対立の区別を明確にし、優位の項の支配を強化する試み」
❌ 誤り。
二項対立の固定と優位の項の支配の強化は、脱構築が解体しようとする当のものである。
③「あらゆる古典テキストの唯一正しい意味を確定する試み」
❌ 誤り。
デリダはテキストの唯一正しい意味の確定を疑い、意味の決定不可能性に注目したのであり、正確な復元をめざしたのではない。
④「西洋哲学を支えてきた二項対立の階層的な秩序を、内側から問い直して揺るがす試み」
✅ 正しい。
正解。脱構築とは、西洋哲学を支えてきた二項対立の階層的秩序を、テキストの内側から問い直して揺るがすデリダの方法である。
覚えるポイント
- 西洋哲学は二項対立と優劣の序列で考えてきた
- 脱構築はその秩序を内側から揺るがして組みかえる
- ポスト構造主義の代表、多分野に影響
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。