RN8-034公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(7) 現代の思想

フーコーが『監獄の誕生』で論じたパノプティコン(一望監視施設)の分析として最も適切なものはどれか。

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正解: 1

正解

囚人が常に見られている可能性を意識することで監視のまなざしを内面化し、自ら規律に従う主体になる仕組み

この問題のポイント

パノプティコンの仕組みと、それが象徴する規律権力の働きを問う。監視の内面化によって自発的な服従が生まれる、という点が核心。

解説

パノプティコン(一望監視施設)は、功利主義者ベンサムが考案した円形の監獄である。中央の塔からすべての独房を見渡せるが、囚人からは看守の姿が見えない。囚人はいつ見られているか分からないため、常に見られている可能性を意識し、やがて監視のまなざしを自分の内面に取り込んで、看守がいなくても自ら規則正しくふるまうようになる。
フーコーは『監獄の誕生』で、この装置を近代社会の権力のモデルとして分析した。近代の権力は、公開処刑のように身体を痛めつけて見せしめる権力から、時間割・訓練・試験・評価を通じて人間を従順な主体へと作り上げる規律権力へと姿を変えた。そしてこの仕組みは監獄だけでなく、学校・軍隊・工場・病院にも共通して働いている。
権力は自由を禁止するだけでなく、規律を内面化した主体を生産する。この分析は、管理社会や監視社会を考える現代の議論の出発点となっている。

ひっかけポイント
暴力による威嚇はむしろ前近代の権力のイメージ。パノプティコンの要点は、見られている意識→監視の内面化→自発的服従、という流れにある。

選択肢の確認

①「囚人が常に見られている可能性を意識することで監視のまなざしを内面化し、自ら規律に従う主体になる仕組み」
正しい。
正解。パノプティコンでは、囚人が見られている可能性を常に意識して監視を内面化し、自ら規律に従う従順な主体になる。

②「看守が全囚人をたえず武力で威嚇し、恐怖によって服従させる仕組み」
誤り。
武力による威嚇と恐怖の支配はむしろ前近代的な権力のイメージで、フーコーの分析した規律権力の特徴ではない。

③「囚人どうしが自由な討議を通じて合意した規則で自治を行う仕組み」
誤り。
討議による合意と自治はハーバーマス的な発想であり、監視の内面化を核とするパノプティコンの仕組みとは無関係である。

④「囚人の労働から最大の利益を上げるための工場経営の仕組み」
誤り。
フーコーの分析の焦点は利益を上げる工場経営ではなく、従順な主体を作り出す規律の技術にある。

覚えるポイント

  • パノプティコンはベンサム考案、フーコーが権力のモデルとして分析
  • 監視の内面化が自ら従う従順な主体を作る(規律権力)
  • 同じ仕組みが学校・軍隊・工場・病院に働く

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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