RN8-024|公共・倫理 対策問題
フロムが『自由からの逃走』で分析した内容として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正解
自由がもたらす孤独と無力感に耐えられない大衆が、ナチズムのような権威への服従に逃げ込んだ
この問題のポイント
『自由からの逃走』の分析の核心を問う。獲得された自由が孤独と不安を生み、人々が自ら自由を手放して権威に服従したという逆説がポイント。
解説
フロムはフランクフルト学派に加わったドイツ出身の社会心理学者で、ナチスを逃れてアメリカに亡命した。主著『自由からの逃走』は、近代人と自由の逆説的な関係を分析した古典である。
近代人は、教会や身分制といった伝統の束縛から解放されて自由を手に入れた。しかしそれは同時に、自分を支え守ってくれた絆を失うことでもあった。よりどころのない個人は孤独と無力感に苦しみ、自由の重荷に耐えられなくなる。そのとき人々は、自由を自ら投げ捨てて、強力な権威への服従と、より弱い者への支配に安定を求める。ドイツの中産階級がナチズムを熱狂的に支持した心理的な仕組みを、フロムはこの権威主義的性格という社会的性格から説明した。
真の自由は、孤独からの逃避ではなく、自発的な愛と生産的な仕事によって世界と結び直されることで実現する、と彼は説いた。
ひっかけポイント
自由の刑はサルトル、規律の内面化はフーコーの議論。フロムは自由を手放して権威に逃げ込む大衆心理の分析、と著者と論点を対応させる。
選択肢の確認
①「自由な市場経済の拡大こそが全体主義を生み出す唯一の原因である」
❌ 誤り。
フロムは市場経済を全体主義の唯一の原因とはしておらず、近代人の孤独という社会心理から説明した。
②「自由がもたらす孤独と無力感に耐えられない大衆が、ナチズムのような権威への服従に逃げ込んだ」
✅ 正しい。
正解。フロムは『自由からの逃走』で、自由の孤独と無力感に耐えられない大衆が権威への服従に逃げ込み、ナチズムを支えたと分析した。
③「人間は自由の刑に処せられており、選択の全責任から逃れられない」
❌ 誤り。
自由の刑はサルトルの言葉であり、自由からの逃避のメカニズムを分析したフロムの議論とは別である。
④「監獄の監視の仕組みが学校や工場に広がり、人々が規律を内面化した」
❌ 誤り。
監視の内面化による規律化はフーコーが『監獄の誕生』で論じたものであり、フロムの分析ではない。
覚えるポイント
- フロムの主著は『自由からの逃走』
- 自由の孤独と無力感→権威への服従(ナチズム支持)
- 権威主義的性格という社会的性格の分析
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。