RN8-025|公共・倫理 対策問題
ハーバーマスが説いた対話的理性(コミュニケーション的合理性)の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 1
正解
強制のない自由な討議を通じて、互いの了解と合意を形成していく理性の働き
この問題のポイント
ハーバーマスの対話的理性の内容を問う。道具的理性への批判を受け継ぎつつ、討議と合意形成に理性の可能性を見いだした点が核心。
解説
ハーバーマスはフランクフルト学派第二世代を代表するドイツの哲学者である。第一世代のホルクハイマーとアドルノは、目的を問わず手段の効率だけを計算する道具的理性が人間支配に転化したと診断したが、理性への信頼そのものが揺らぐという困難を残した。
ハーバーマスはこれに対し、理性には別の働きがあると論じた。それが対話的理性(コミュニケーション的合理性)である。人間は言葉を交わし、根拠を示し合いながら、力や地位による強制なしに、互いの主張の正しさを吟味して了解と合意を作り出すことができる。理性は独りで計算する能力である前に、対話を通じて共に真理と正しさを求める能力なのである。
彼は、誰もが対等に討議に参加し、より良い論拠だけが力を持つ理想的な話し合いの条件を重視し、市民が公開の討論を行う**公共圏(公共性)**の再生を説いた。この討議による合意形成の考え方は、熟議民主主義の理論的な支柱となっている。
ひっかけポイント
効率的な手段の計算はまさに批判対象の道具的理性の説明。ハーバーマスの理性は、討議・了解・合意という対話の場面で働く点が決定的な特徴である。
選択肢の確認
①「強制のない自由な討議を通じて、互いの了解と合意を形成していく理性の働き」
✅ 正しい。
正解。対話的理性とは、強制のない自由な討議を通じて互いの了解と合意を形成していく理性の働きであり、ハーバーマスの中心概念である。
②「目的の達成のために最も効率的な手段を計算する理性の働き」
❌ 誤り。
効率的な手段の計算は道具的理性の説明であり、ハーバーマスが批判的に区別した理性のあり方である。
③「感覚的な経験を排して、真理を一挙に直観する理性の働き」
❌ 誤り。
経験を排した真理の直観は神秘主義や合理論的な発想であり、討議による検証を重んじる対話的理性とは異なる。
④「伝統と権威に従うことによって社会の安定を保つ理性の働き」
❌ 誤り。
伝統と権威への服従による安定は、より良い論拠だけが力を持つべきだとする討議の理念と正反対である。
覚えるポイント
- 対話的理性=強制のない討議で合意を形成する理性
- 道具的理性批判を受け継ぎ理性を立て直した第二世代
- 公共圏の討議を重視、熟議民主主義の支柱
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。