RN8-026公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(7) 現代の思想

ハーバーマスのいう「生活世界の植民地化」の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 4

正解

貨幣と権力を原理として動くシステムが、対話による了解で営まれる生活世界の領域を侵食すること

この問題のポイント

ハーバーマスの社会診断の鍵概念を問う。システム(貨幣・権力)と生活世界(対話・了解)の対比を押さえているかが決め手。

解説

ハーバーマスは現代社会を、性格の異なる2つの領域の関係として捉えた。
一方のシステムは、市場経済と行政国家からなる領域で、貨幣権力を媒体とし、効率を基準に自動的に作動する。他方の生活世界は、家族・地域・文化など、人々が言葉を交わし、了解し合うことを通じて営まれる日常の領域である。システムは本来、生活世界を支える手段として発達したものだった。
ところが現代では、効率や採算の論理、行政の管理の論理が、教育・家族・福祉といった生活世界の隅々にまで入り込み、対話による了解の営みを金銭や規則の関係に置き換えつつある。この事態をハーバーマスは「システムによる生活世界の植民地化」と呼んで批判した。
これに対抗する道は、対話的理性に基づく市民の討議を活性化し、公共圏から民主的な合意を形成してシステムを制御し直すことに求められた。

ひっかけポイント
植民地化といっても国家間の支配の話ではなく、社会の内部でシステムの論理が日常の対話の領域を侵すことの比喩である点に注意する。

選択肢の確認

①「先進国が発展途上国を軍事力によって植民地として支配すること」
誤り。
国家間の軍事的な植民地支配の話ではなく、同じ社会の内部で起こる領域間の侵食についての比喩である。

②「大衆が自由の重荷に耐えられず、自ら権威に服従してしまうこと」
誤り。
自由を手放して権威に服従する大衆心理はフロムの『自由からの逃走』の分析であり、ハーバーマスの概念ではない。

③「都市の生活様式が農村部へ一方的に拡大していくこと」
誤り。
都市の生活様式の拡大という地理的な現象ではなく、効率と管理の論理が日常の対話の営みを置き換えることを指す。

④「貨幣と権力を原理として動くシステムが、対話による了解で営まれる生活世界の領域を侵食すること」
正しい。
正解。生活世界の植民地化とは、貨幣と権力を原理とするシステムが、対話による了解で営まれる生活世界を侵食する事態を指す。

覚えるポイント

  • システム=貨幣と権力、生活世界=対話と了解
  • システムの論理が生活世界を侵食=植民地化
  • 対抗策は公共圏での討議と合意形成

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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