RN9-025公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(6) 実存主義とプラグマティズム

次の資料は、ある思想家の主張である。「人間はまず先に実存し、世界の中で出会われ、その後で自分自身を定義する。実存は本質に先立つのである。人間は自由の刑に処せられており、自分の選択を通じて全人類に対して責任を負う(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 4

正解

人間にはあらかじめ定められた本質はなく、自由な選択によって自己を作り上げ、その選択は全人類への責任を伴うという考え方

この問題のポイント

サルトルの「実存は本質に先立つ」の資料読解。自由と責任、社会参加への展開を読み取れるかが問われる。

解説

資料はフランスの実存主義者サルトルの講演『実存主義とは何か』の要旨である。ペーパーナイフのような道具は、用途という本質が先に定められて作られる。しかし人間は違う。
人間はまず存在し(実存)、その後に自らの選択と行動によって自分が何であるかを作り上げていく。これが「実存は本質に先立つ」の意味である。
人間は自由であることから逃れられないという意味で「自由の刑に処せられている」。しかも、自分のあり方を選ぶことは、こうあるべきだという人間像を全人類に向けて示すことでもあるため、選択には全人類への責任が伴う。
ここからサルトルは、社会の状況に自らを拘束し積極的に参加する**アンガージュマン(社会参加)**を説き、自らも社会運動に関わった。

ひっかけポイント
本質が先に定まっている道具的存在と人間を混同させる誤答が定番。人間だけが選択によって自己を作る存在である。

選択肢の確認

①「人間の本質は神によってあらかじめ定められており、人はその本質を実現するために生きるという考え方」
誤り。
誤答理由: 神が人間の本質をあらかじめ定めているという見方は、まさに資料が否定している前提であり、実存が本質に先立つという主張と正反対である。

②「自由は人間にとって重すぎる重荷なので、選択は権威ある他者に委ねるのが賢明だという考え方」
誤り。
誤答理由: サルトルは自由からの逃走を自己欺瞞として退けており、選択を権威に委ねることを勧める説明は思想の趣旨に反する。

③「個人の選択はあくまで私的な事柄であり、社会や他者に対する責任とは無関係だという考え方」
誤り。
誤答理由: サルトルは個人の選択が全人類に対する責任を伴うとしており、選択を私的な事柄にとどめる説明は資料の後半と矛盾する。

④「人間にはあらかじめ定められた本質はなく、自由な選択によって自己を作り上げ、その選択は全人類への責任を伴うという考え方」
正しい。
正解。資料はサルトルの実存主義の要旨であり、実存は本質に先立つという原則から、自由な選択による自己形成と、全人類への責任、アンガージュマンへの展開を説いている。

覚えるポイント

  • 実存は本質に先立つは人間の自由の宣言
  • 自由の刑と全人類への責任はセット
  • アンガージュマン(社会参加)に展開する

共通テスト攻略

  • 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
  • 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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