RN9-026公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(7) 現代の思想

次の資料は、ある思想家の主張である。「正義の原理は、各人が自分の才能や社会的地位、価値観を知らされていない無知のヴェールに覆われた原初状態において、全員が合意するものでなければならない。社会的・経済的不平等は、最も不遇な人々の利益を最大にする場合にのみ許される(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 3

正解

公正な合意の手続きから正義の原理を導き、格差は最も不遇な人々の境遇を改善する場合に限って認められるとする考え方

この問題のポイント

ロールズの『正義論』の資料読解。無知のヴェール・原初状態という思考実験と、格差原理の内容を読み取る。

解説

資料はロールズの『正義論』の要旨である。ロールズは、最大多数の最大幸福のためなら少数者の犠牲を許しかねない功利主義を批判し、社会契約説を現代的に再構成して公正としての正義を構想した。
彼は、自分の才能・地位・価値観を知らない無知のヴェールをかぶった原初状態を想定する。そこでは誰もが、自分が最も不遇な立場になる可能性を考えて原理を選ぶはずである。
こうして合意されるのが、第一に平等な基本的自由(平等な自由の原理)、第二に、不平等が許されるのは公正な機会均等のもとで、かつ最も不遇な人々の利益を最大にする場合に限るという格差原理である。
この議論は、福祉国家による再分配を正義の観点から根拠づけるものとして大きな影響を与えた。

ひっかけポイント
功利主義・リバタリアニズム(ノージック)・共同体主義との立場の識別が定番。手続きの公正と格差原理がロールズの特徴である。

選択肢の確認

①「財の分配は市場での自由な取引の結果に委ねるべきであり、国家による再分配は個人の権利の侵害だとする考え方」
誤り。
誤答理由: 再分配を権利侵害とみなし市場の結果に委ねるのはノージックらリバタリアニズムの立場であり、格差原理による是正を説くロールズとは異なる。

②「正義の内容は、それぞれの共同体で歴史的に育まれてきた共通善によってのみ定まるとする考え方」
誤り。
誤答理由: 共同体の共通善から正義を導くのはサンデルら共同体主義の立場であり、個人の公正な合意から出発するロールズの方法とは対照的である。

③「公正な合意の手続きから正義の原理を導き、格差は最も不遇な人々の境遇を改善する場合に限って認められるとする考え方」
正しい。
正解。資料は『正義論』の要旨であり、無知のヴェールという公正な手続きから、平等な自由と公正な機会均等、最も不遇な人々の利益を最大にする格差原理を導いている。

④「社会全体の幸福の総量を最大にするためであれば、少数者に犠牲を強いることも正義にかなうとする考え方」
誤り。
誤答理由: 多数の幸福のための少数者の犠牲を許容しうる功利主義は、ロールズがまさに批判した立場である。

覚えるポイント

  • 無知のヴェール・原初状態は公正な合意の装置
  • 格差原理は最も不遇な人々の利益の最大化
  • 功利主義批判として公正としての正義を提唱

共通テスト攻略

  • 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
  • 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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