RN9-017|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家の主張である。「人間は自由なものとして生まれたのに、いたるところで鎖につながれている。社会契約によって各人が自らのすべてを共同体に委ね、公共の利益を目指す意志の指導のもとに身を置くとき、人民は服従しながらもなお自由である(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 3
正解
主権は公共の利益を目指す一般意志の行使であり、人民自身が立法に参加することによって自由が実現するという考え方
この問題のポイント
ルソーの社会契約説の資料読解。一般意志と人民主権、直接民主制の主張を読み取れるかが問われる。
解説
資料はルソーの『社会契約論』冒頭部の要旨である。ルソーは、自然状態の人間は自己愛とあわれみ(憐憫の情)を持つ自由で平等な存在だったが、私有財産の発生とともに不平等と隷属が生じたと考えた。
そこで彼は、各人が自らのすべてを共同体に委ね、一般意志の指導のもとに置く社会契約を構想した。一般意志とは、私的利益の総和である全体意志とは区別される、公共の利益を目指す意志である。
主権は一般意志の行使であり、譲り渡すことも代表することもできない(人民主権)。ここからルソーは代議制を批判し、人民が直接立法に参加する直接民主制を理想とした。自ら定めた法に従うことこそ真の自由だという考え方は、フランス革命に大きな影響を与えた。
ひっかけポイント
一般意志と全体意志(私益の総和)の混同、および全面譲渡と絶対服従を説くホッブズとの混同が定番の誤り。
選択肢の確認
①「主権の行使は選挙で選ばれた代表者に完全に委ねられるべきであり、人民が直接政治に関わる必要はないという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: ルソーは一般意志は代表できないとして代議制を批判しており、代表者への全面委任はルソーの立場と正反対である。
②「公共の利益を目指す意志とは、各人の私的な利益の総和のことであるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 私的利益の総和は全体意志であり、ルソーはこれを公共の利益を目指す一般意志から明確に区別した。両者の混同が定番のひっかけである。
③「主権は公共の利益を目指す一般意志の行使であり、人民自身が立法に参加することによって自由が実現するという考え方」
✅ 正しい。
正解。資料は『社会契約論』の要旨で、主権は公共の利益を目指す一般意志の行使であり、人民自身の立法参加(直接民主制)によって服従と自由が両立するとする。
④「人民は契約によって自然権を主権者に全面的に譲渡し、その命令に絶対的に服従すべきだという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 自然権の全面譲渡と主権者への絶対的服従はホッブズの構成であり、主権を人民の手に留め置くルソーの主張とは異なる。
覚えるポイント
- 一般意志は公共の利益を目指す意志
- 主権は譲渡も代表もできず直接民主制を理想とした
- 全体意志(私益の総和)との区別が頻出
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。