RN9-024|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家の主張である。「神は死んだ。最高の諸価値がその価値を失い、何のために生きるのかという問いに答えがなくなった。人間はこの事実から目をそらさず、自ら新しい価値を創造し、自己自身を乗り越えていく存在とならねばならない(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 1
正解
キリスト教的価値観の崩壊によるニヒリズムの到来を直視し、自ら価値を創造する超人として力強く生きることを説いた
この問題のポイント
ニーチェの「神は死んだ」の資料読解。ニヒリズムの直視と、超人による価値創造という能動的な応答を読み取る。
解説
資料はニーチェの思想の要旨である。「神は死んだ」とは、ヨーロッパの精神を支えてきたキリスト教的な価値観・道徳がもはや信じられなくなり、生きる意味や目標が失われたニヒリズム(虚無主義)の時代が到来したことの宣言である。
ニーチェは、キリスト教道徳を、弱者が強者への怨恨(ルサンチマン)から生み出した奴隷道徳だと批判した。
そのうえで彼は、ニヒリズムから逃げるのではなく、同じことが永遠に繰り返される永劫回帰の世界をそのまま肯定し(運命愛)、力への意志に基づいて自ら新しい価値を創造しながら自己を乗り越えていく超人を、新たな人間の理想として掲げた。主著に『ツァラトゥストラはこう語った』がある。
ひっかけポイント
信仰への飛躍で危機に応えたキルケゴールとの対比が定番。ニーチェは神なき時代の価値創造を説いた。
選択肢の確認
①「キリスト教的価値観の崩壊によるニヒリズムの到来を直視し、自ら価値を創造する超人として力強く生きることを説いた」
✅ 正しい。
正解。資料はニーチェの思想の要旨であり、神は死んだという宣言でニヒリズムの到来を直視し、力への意志に基づき自ら価値を創造する超人を新たな理想とした。
②「価値の崩壊の危機に際して、神への信仰に立ち返り単独者として神の前に立つことを説いた」
❌ 誤り。
誤答理由: 神への信仰に立ち返る単独者の実存はキルケゴールの応答であり、神なき時代の価値創造を説いたニーチェの方向とは正反対である。
③「伝統的な価値の崩壊を嘆き、教会の権威を復活させて社会秩序を回復することを説いた」
❌ 誤り。
誤答理由: ニーチェはキリスト教道徳を奴隷道徳と批判した側であり、教会の権威の復活を求める立場とは相いれない。
④「すべての価値が失われた以上、何事にも意味はないとあきらめ、一切の意欲を捨てて生きることを勧めた」
❌ 誤り。
誤答理由: 一切の意欲を捨てるのは消極的ニヒリズムであり、ニーチェはむしろ運命を愛して価値を創造する能動的な生き方を説いた。
覚えるポイント
- 神は死んだはニヒリズム到来の宣言
- キリスト教道徳をルサンチマンによる奴隷道徳と批判
- 永劫回帰・運命愛・力への意志・超人が鍵概念
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。