RN9-023|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家の手記である。「私に必要なのは、私は何をなすべきかについて明らかになることだ。私にとって真理であるような真理を見いだし、私がそれのために生き、そして死にたいと思えるような理念を見いだすことなのだ(要旨)」。この手記を残した思想家として最も適切なのは誰か。
解答・解説を見る
正解: 2
正解
キルケゴール
この問題のポイント
「私にとっての真理」=主体的真理を求めた実存主義の先駆者キルケゴールを、手記の内容から特定できるかが問われる。
解説
資料はデンマークの思想家キルケゴールが若き日に記した手記の要旨である。彼は、誰にでも当てはまる客観的・普遍的な真理を説くヘーゲル哲学に反発し、この私が生き死にを賭けられる「私にとっての真理(主体的真理)」こそが重要だと主張した。
ここから、かけがえのない自己の生き方を問う実存主義が始まる。キルケゴールは、実存には三つの段階があるとした。快楽を追う美的実存は絶望に陥り、良心的に義務を果たそうとする倫理的実存も自己の無力に絶望する。
最後に、絶望(死に至る病)の中で単独者として神の前に立ち、信仰へと飛躍する宗教的実存において、人間は本来の自己を回復するとされた。主著に『あれか、これか』『死に至る病』がある。
ひっかけポイント
客観的真理の体系を築いたヘーゲルとの対比が定番。キルケゴールは主体的真理と単独者を強調した実存主義の先駆者である。
選択肢の確認
①「デューイ」
❌ 誤り。
誤答理由: デューイは知性を問題解決の道具とみる道具主義を説いたプラグマティズムの哲学者であり、資料の手記の筆者ではない。
②「キルケゴール」
✅ 正しい。
正解。私にとって真理であるような真理を求めるという手記は、主体的真理を重んじた実存主義の先駆者キルケゴールの若き日の言葉として有名である。
③「ヘーゲル」
❌ 誤り。
誤答理由: ヘーゲルは誰にでも妥当する客観的・普遍的な真理の体系を築いた哲学者であり、キルケゴールはまさにその立場に反発してこの手記を残した。
④「ベンサム」
❌ 誤り。
誤答理由: ベンサムは最大多数の最大幸福を説いた功利主義者であり、実存の主体的真理を求める資料の問題意識とは無関係である。
覚えるポイント
- キルケゴールは主体的真理を求めた
- 実存の三段階は美的・倫理的・宗教的
- 絶望は死に至る病、神の前の単独者が鍵概念
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。