RN9-001公共・倫理 対策問題

倫理A 人間としての在り方生き方(2) ギリシアの思想

次の資料は、ある思想家の言葉である。「私はあの人と別れて帰る途中で考えた。私もあの人も、善や美について何も知らないらしい。だがあの人は知らないのに知っていると思い込んでおり、私は知らないので、そのとおり知らないと思っている。このわずかな点で、私の方が知恵があるようだ(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 2

正解

自分の無知を自覚することこそが、真の知を求める探究の出発点になるという考え方

この問題のポイント

ソクラテスの「無知の知」の資料読解。知らないことの自覚が知の探究の出発点になる、という論理をつかめるかが問われる。

解説

資料はソクラテスが語った無知の知の要旨である。デルフォイの神託で「ソクラテス以上の知者はいない」と告げられた彼は、その意味を確かめるために知者と評判の人々と対話した。
その結果、彼らは善美の事柄を知らないのに知っていると思い込んでいるが、自分は知らないことを知らないと自覚している点でわずかに知恵がある、と気づいた。
この自覚こそが、**知を愛し求める営み(フィロソフィア)の出発点である。ソクラテスは問答法(助産術)**によって相手に無知を自覚させ、魂への配慮を促した。
真の知は徳と一致し(知徳合一)、徳を知る者は徳を行い(知行合一)、それが幸福につながる(福徳一致)と彼は考えた。

ひっかけポイント
プロタゴラスの相対主義「人間は万物の尺度」と混同させる誤答が定番。ソクラテスは真理の探究を放棄せず、普遍的な知を求めた。

選択肢の確認

①「何事も過度と不足の両極端を避け、中庸を選ぶことが徳であるという考え方」
誤り。
誤答理由: 過度と不足を避ける中庸を徳の基準としたのはアリストテレスであり、資料の内容とは対応しない。

②「自分の無知を自覚することこそが、真の知を求める探究の出発点になるという考え方」
正しい。
正解。資料はソクラテスの無知の知の要旨であり、知らないことを知らないと自覚する点にわずかな知恵があるとする。この自覚が知を愛し求める探究の出発点となる。

③「人間は万物の尺度であり、真理は各人の感じ方によって異なるという考え方」
誤り。
誤答理由: 人間は万物の尺度であるとする真理の相対主義はソフィストのプロタゴラスの立場であり、普遍的な知を探究したソクラテスの考え方とは対立する。

④「感覚でとらえられる現実の世界の背後に、永遠不変のイデアの世界があるという考え方」
誤り。
誤答理由: 感覚界の背後に永遠不変のイデア界を想定したのは弟子のプラトンであり、資料の無知の自覚の話とは別の思想である。

覚えるポイント

  • 無知の知は知の探究の出発点
  • 問答法(助産術)で相手に無知を自覚させた
  • 知徳合一・知行合一・福徳一致で魂への配慮を説いた

共通テスト攻略

  • 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
  • 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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