RN9-014公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(2) 科学革命と合理論・経験論

次の資料は、ある思想家の主張である。「わずかでも疑いうるものはすべて偽として退けてみる。感覚も、数学の証明さえも疑ってみる。しかし、そのようにすべてを疑っている私が存在することだけは、どうしても疑うことができない(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 2

正解

あらゆるものを意図的に疑う方法的懐疑を徹底した末に、疑っている自我の存在を最も確実な哲学の第一原理として見いだした

この問題のポイント

デカルトの方法的懐疑の資料読解。懐疑は真理否定が目的ではなく、確実な原理に到達するための方法である点を読み取る。

解説

資料は大陸合理論の祖デカルトの『方法序説』の要旨である。デカルトは、確実な学問の土台を求めて、少しでも疑いうるものをすべて偽とみなして退ける方法的懐疑を行った。
感覚は錯覚することがあり、数学の証明も誤りうる。しかし、そのようにすべてを疑っている私(考える自我)が存在することだけは疑いえない。これが「われ思う、ゆえにわれあり(コギト・エルゴ・スム)」であり、デカルトはこれを哲学の第一原理とした。
この確実な原理から出発し、理性の推理で真理を導く演繹法を学問の方法とした。また、精神と物体を独立した実体とみる物心二元論を唱え、人間の理性(良識、ボン・サンス)はすべての人に等しく備わるとした。

ひっかけポイント
方法的懐疑を、真理の存在を否定する懐疑主義と混同させる誤答が定番。デカルトの懐疑は確実な原理に到達するための方法である。

選択肢の確認

①「確実な真理はどこにも存在しないと結論づけ、一切の判断を保留して生きるべきだとした」
誤り。
誤答理由: デカルトの懐疑は確実な原理に到達するための方法であり、真理の存在を否定して判断を保留する懐疑主義とは目的が異なる。

②「あらゆるものを意図的に疑う方法的懐疑を徹底した末に、疑っている自我の存在を最も確実な哲学の第一原理として見いだした」
正しい。
正解。資料は方法的懐疑の要旨であり、すべてを疑った末に、疑っている自我の存在だけは疑えないという「われ思う、ゆえにわれあり」を哲学の第一原理とした。

③「人間の感覚は決して誤ることがないので、感覚がとらえたものをそのまま真理として受け入れるべきだとした」
誤り。
誤答理由: デカルトは感覚が錯覚しうることを方法的懐疑の出発点としており、感覚を無条件に信頼する立場は資料の趣旨と正反対である。

④「確実な知識はすべて観察と実験の積み重ねによってのみ得られるとし、理性の推理を退けた」
誤り。
誤答理由: 観察と実験のみを知識の源泉とするのはベーコンら経験論の立場であり、理性の推理による演繹法を説いたデカルトの方法ではない。

覚えるポイント

  • 方法的懐疑は確実な原理を求める手段
  • われ思う、ゆえにわれありが哲学の第一原理
  • 演繹法・物心二元論・良識の平等も併せて押さえる

共通テスト攻略

  • 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
  • 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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