RN9-013公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(2) 科学革命と合理論・経験論

次の資料は、ある思想家の主張である。「人間の知性には、種族・洞窟・市場・劇場という四つの偏見がつきまとう。自然を支配するには、まず自然に従わなければならない。観察と実験を通じて自然を解明するとき、知は力となる(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 3

正解

先入観や偏見を取り除き、観察・実験から一般法則を導く帰納法によって、自然を支配する力となる知識を得るべきだという考え方

この問題のポイント

ベーコンのイドラ論と帰納法の資料読解。「知は力なり」が観察・実験に基づく経験論の立場と結びつくことを読み取る。

解説

資料はイギリス経験論の祖ベーコンの主張の要旨である。ベーコンは、正しい知識の獲得を妨げる先入観・偏見をイドラ(幻影)と呼び、人類共通の種族のイドラ、個人の環境による洞窟のイドラ、言葉の不適切な使用による市場のイドラ、権威や伝統を無批判に信じる劇場のイドラの四つを挙げた。
イドラを取り除いたうえで、観察と実験によって得た個々の事実から一般法則を導く帰納法こそが、学問の正しい方法だとした。
知は力なり」という言葉は、自然の法則を知ることによって自然を支配し、人類の生活を改善できるという確信を表している。この思想は近代自然科学の方法の基礎となった。

ひっかけポイント
デカルトの演繹法との対比が定番。経験から一般法則へ向かうのが帰納法、確実な原理から個々の真理を導くのが演繹法である。

選択肢の確認

①「確実な知識は、経験に先立って人間に生まれつき備わっている観念に由来するという考え方」
誤り。
誤答理由: 生得観念を知識の源泉とするのは大陸合理論の立場であり、観察と実験を重んじる経験論のベーコンはこれを認めない。

②「学問の目的は実生活への応用ではなく、真理をただ眺めて楽しむ観想の生活にあるという考え方」
誤り。
誤答理由: 観想を最高の生き方とするのは古代ギリシア的な学問観であり、ベーコンは知識を人類の生活改善に役立てることを目的とした。

③「先入観や偏見を取り除き、観察・実験から一般法則を導く帰納法によって、自然を支配する力となる知識を得るべきだという考え方」
正しい。
正解。資料はベーコンの主張の要旨で、四つのイドラを取り除き、観察・実験から一般法則を導く帰納法によって自然を支配する知識(知は力なり)を得るべきだとする。

④「疑い得ない確実な原理から出発し、理性の推理によって個々の真理を導く演繹法こそ学問の方法だという考え方」
誤り。
誤答理由: 確実な原理から理性の推理で真理を導く演繹法はデカルトの方法であり、経験から出発する資料の帰納法とは方向が逆である。

覚えるポイント

  • 四つのイドラは種族・洞窟・市場・劇場
  • 観察・実験から法則を導く帰納法を提唱
  • 知は力なりは自然支配による生活改善の思想

共通テスト攻略

  • 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
  • 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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