RN9-010|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家の主張である。「神は人間に定まった場所も固有の姿も与えなかった。おまえは自分の意志によって、おまえ自身の本性を形づくるがよい。獣に堕落することも、神に近い存在へと生まれ変わることもできる(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 2
正解
人間の尊厳は、自由意志によって自らのあり方を選び取り、自己を形成できる点にあるという考え方
この問題のポイント
ピコ=デラ=ミランドラの「人間の尊厳」論の資料読解。自由意志による自己形成に人間の尊厳を見いだすルネサンス人文主義の思想を読み取る。
解説
資料はルネサンス期イタリアの思想家ピコ=デラ=ミランドラの『人間の尊厳について』の要旨である。
彼は、神が人間にだけは定まった本性を与えず、自由意志によって自らのあり方を選ばせたとし、獣にも神に近い存在にもなりうるこの自己形成の自由にこそ人間の尊厳があると論じた。
この主張は、中世の神中心の世界観から人間中心の考え方へ転換するルネサンスの精神を象徴している。ルネサンスでは、ギリシア・ローマの古典の研究を通じて人間性の解放を目指す人文主義(ヒューマニズム)が展開され、レオナルド=ダ=ヴィンチのような万能人が理想とされた。
エラスムスやトマス=モアも人文主義者として教会や社会の現実を批判した。
ひっかけポイント
自由意志を無力とみるルターの立場と混同させる誤答が定番。ピコは自由意志にこそ人間の尊厳を見いだした。
選択肢の確認
①「人間は宇宙の秩序の中で定められた身分にとどまり、分を越えてはならないという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 定められた身分にとどまるべきだとする考えは中世的な身分秩序の観念であり、自らのあり方を選べとする資料の趣旨と相いれない。
②「人間の尊厳は、自由意志によって自らのあり方を選び取り、自己を形成できる点にあるという考え方」
✅ 正しい。
正解。資料はピコ=デラ=ミランドラの『人間の尊厳について』の要旨で、自由意志によって自らのあり方を選び形成できる点に人間の尊厳を見いだすルネサンス人文主義の思想である。
③「人間の運命は天体の配置によってあらかじめ決定されているという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 星の配置による運命の決定は占星術的な宿命論であり、自由意志による自己形成を説く資料の主張と正反対である。
④「人間の意志は原罪によって無力であり、救いはただ神の恩寵のみによるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 原罪により自由意志を無力とみるのはルターの奴隷意志論の立場であり、自由意志を人間の尊厳の根拠とするピコの思想とは対立する。
覚えるポイント
- ピコは自由意志による自己形成に人間の尊厳を見た
- ルネサンスは人文主義による人間性の解放
- 理想の人間像は万能人(普遍人)
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。