RN9-009|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家の主張である。「幼い子どもが井戸に落ちかけているのを見れば、誰でもはっと驚き、いたたまれない気持ちになって助けようとする。それは子どもの親と交際を結びたいからでも、人に褒められたいからでもない(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 2
正解
人間には生まれつき他者の苦しみを見過ごせない心などの善の芽生えが備わっており、それを養えば徳が実現するという考え方
この問題のポイント
孟子の性善説と四端の資料読解。井戸の事例が惻隠の心の生得性を示す論拠であることを読み取る。
解説
資料は孟子の性善説を示す有名な事例の要旨である。子どもを助けようとする反応が損得の計算に基づかないことから、孟子は人間に生まれつき善への素質が備わっていると論じた。
その素質が四端である。他者の苦しみをあわれむ惻隠の心は仁の端、不善を恥じ憎む羞悪の心は義の端、譲り合う辞譲の心は礼の端、善悪を判断する是非の心は智の端であり、四端を養い育てれば仁義礼智の四徳が実現する。
孟子はまた、道徳的な力に満ちた浩然の気を養う大丈夫を理想とし、政治では力による覇道を退け、仁義に基づく王道を説いた。天命が革まる易姓革命の思想も孟子に由来する。
ひっかけポイント
性悪説の荀子との対比が定番。荀子は本性を悪とみて礼による矯正(礼治主義)を説いた。生得的な善の芽生えを認めるのが孟子である。
選択肢の確認
①「人が善い行いをするのは、報酬への期待と罰への恐れを計算した結果にすぎないという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 資料は、助ける行為が報酬や非難の計算に基づかないことをわざわざ確認しており、打算に帰する説明は資料の趣旨と正反対である。
②「人間には生まれつき他者の苦しみを見過ごせない心などの善の芽生えが備わっており、それを養えば徳が実現するという考え方」
✅ 正しい。
正解。資料は孟子の性善説の論拠となる事例で、損得によらず子どもを救おうとする惻隠の心など、生まれつきの善の芽生え(四端)を養えば仁義礼智が実現するとする。
③「人間の本性は利己的で悪であるから、後天的な礼による矯正と教育が必要であるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 本性を悪とみて礼による後天的な矯正を説いたのは荀子であり、生得的な善の端緒を認める資料の主張と正反対である。
④「人間は生まれたときは白紙の状態であり、善悪はすべて経験によって書き込まれるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 心を白紙とみて善悪を経験に帰する考えはロックのタブラ・ラサに近い発想であり、生まれつきの四端を説く孟子の立場ではない。
覚えるポイント
- 惻隠・羞悪・辞譲・是非の四端が仁義礼智の端緒
- 孟子は性善説・王道政治・易姓革命
- 荀子は性悪説・礼治主義で対比する
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。