RN9-018|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家の主張である。「あなたの意志の格率が、常に同時に普遍的な立法の原理として妥当するように行為せよ。また、あなた自身や他のすべての人の人格のうちにある人間性を、常に同時に目的として扱い、決して単に手段としてのみ扱わないように行為せよ(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 2
正解
道徳法則は結果や条件にかかわらず無条件に命じる定言命法であり、人格を目的そのものとして尊重すべきだという考え方
この問題のポイント
カントの定言命法の二つの定式の資料読解。無条件の命令という形式と、人格を目的として扱えという内容を読み取る。
解説
資料はカントの示した定言命法の二つの定式の要旨である。カントは、行為の善さを結果ではなく動機に求め、義務に従おうとする善意志だけが無条件に善であるとした(動機主義)。
道徳法則は「もし〜したければ〜せよ」という条件付きの仮言命法ではなく、「〜せよ」と無条件に命じる定言命法の形をとる。資料前半は、自分の行動方針(格率)が誰にでも当てはまる普遍的法則となりうるように行為せよという定式である。
資料後半は、理性を持つ人間を人格として尊重し、決して単なる手段としてのみ扱ってはならないという定式である。カントは、互いを目的として尊重し合う理想の共同体を目的の国(目的の王国)と呼んだ。
自ら立てた道徳法則に自ら従う意志の自律こそが真の自由であるとされる。
ひっかけポイント
結果の幸福で善さを判断する功利主義との対比が定番。カントは動機を重視し、幸福の計算による道徳を退けた。
選択肢の確認
①「道徳は各社会の慣習の産物にすぎず、すべての人に妥当する普遍的な法則は存在しないという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: カントは道徳法則をすべての理性的存在者に妥当する普遍的なものと考えており、慣習にすぎず普遍性がないという説明は正反対である。
②「道徳法則は結果や条件にかかわらず無条件に命じる定言命法であり、人格を目的そのものとして尊重すべきだという考え方」
✅ 正しい。
正解。資料は定言命法の二つの定式の要旨であり、道徳法則は結果や条件によらず無条件に命じること、人格を単なる手段でなく目的として尊重すべきことを示している。
③「行為の善さは、その行為がもたらす幸福の量の大きさによって決まるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 行為の善さを幸福という結果で判断するのは功利主義であり、動機の善意志を重んじるカントの立場と対立する。
④「道徳の命令はすべて、何かの目的を達成したいなら従うべきだという条件付きの命令であるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 条件付きの仮言命法を道徳の基本とする説明は誤り。カントは道徳法則を無条件の定言命法としてとらえた。
覚えるポイント
- 定言命法は無条件の命令、仮言命法は条件付き
- 人格は目的として扱い手段としてのみ扱わない
- 意志の自律が自由であり目的の国が理想
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 因果の向きを確認:時期が近いだけで結び付けず、「原因→政策・行動→結果」の順に置き、主体と目的がつながるかを確かめる。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。