RN9-016公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(3) 社会契約と啓蒙

次の資料は、ある思想家の主張である。「国家のない自然状態では、各人は自分の力だけで身を守らねばならず、万人の万人に対する闘争となる。そこで人々は、平和のために契約を結び、自らの自然権を主権者に譲り渡して国家をつくる(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 4

正解

自然状態を戦争状態ととらえ、平和と安全のために各人が自然権を主権者に譲渡する契約によって国家の成立を根拠づけた

この問題のポイント

ホッブズの社会契約説の資料読解。自然状態=万人の万人に対する闘争、自然権の譲渡による国家成立という論理を読み取る。

解説

資料は『リヴァイアサン』を著したホッブズの主張の要旨である。ホッブズは、人間を自己保存の欲求に動かされる存在とみて、国家のない自然状態では各人が自然権を無制限に行使し合い、「万人の万人に対する闘争」という戦争状態に陥ると考えた。
この悲惨な状態を逃れるため、人々は理性(自然法)の命じるところに従って社会契約を結び、各人の自然権を主権者に譲渡する。こうして成立する国家は、旧約聖書の怪物リヴァイアサンにたとえられる強大な力を持つ。
結果として絶対的な国家権力への服従を正当化した点に特徴があるが、国家の根拠を神ではなく人民の契約に求めた点で、近代政治思想の出発点となった。

ひっかけポイント
ロック(抵抗権)やルソー(自然状態は平和)との対比が定番。自然状態を闘争とみて権利の譲渡と絶対的主権を導くのがホッブズ。

選択肢の確認

①「自然状態は自由で平等な平和状態であり、私有財産の発生した文明社会こそが不平等の起源であるとした」
誤り。
誤答理由: 自然状態を自由平等な状態とし文明社会を不平等の起源とみるのはルソーの見方であり、闘争状態から出発するホッブズと正反対である。

②「政府が人民の信託に反した場合には、人民は抵抗権を行使して政府を変更できるとした」
誤り。
誤答理由: 信託に反した政府への抵抗権はロックの主張であり、主権者への絶対的服従を導いたホッブズの結論とは異なる。

③「国家の権力は神から国王に直接授けられたものであり、人民は無条件に服従すべきだとした」
誤り。
誤答理由: 王権神授説は国家権力の根拠を神に求める考えであり、人民の契約に根拠を求めた社会契約説とは対立する立場である。

④「自然状態を戦争状態ととらえ、平和と安全のために各人が自然権を主権者に譲渡する契約によって国家の成立を根拠づけた」
正しい。
正解。資料はホッブズ『リヴァイアサン』の要旨で、自然状態を万人の万人に対する闘争とみて、平和のために自然権を主権者に譲渡する社会契約で国家の成立を根拠づけた。

覚えるポイント

  • ホッブズの自然状態は万人の万人に対する闘争
  • 自然権を主権者に譲渡する契約で国家が成立
  • 主著『リヴァイアサン』は絶対的権力を正当化

共通テスト攻略

  • 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
  • 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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