RN9-015公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(2) 科学革命と合理論・経験論

次の資料は、ある思想家の言葉である。「人間は自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。だがそれは考える葦である。宇宙が人間を押しつぶしても、人間は自分が死ぬことと宇宙が自分より優れていることを知っている。人間の尊厳はすべて考えることのうちにある(要旨)」。この言葉を残した思想家として最も適切なのは誰か。

解答・解説を見る

正解: 1

正解

パスカル

この問題のポイント

「考える葦」という有名な言葉から、人間を悲惨と偉大の中間者ととらえたパスカルを特定できるかが問われる。

解説

資料はフランスの思想家パスカルの遺稿集『パンセ』にある「考える葦」の要旨である。
パスカルは、人間を広大な宇宙の中では無力な一本の葦のように弱い存在としながら、考えることによって宇宙を包み込み、自らの悲惨さを自覚できる点に人間の尊厳を見いだした。
人間は偉大と悲惨、無限と虚無の間を揺れ動く中間者であり、その不安から目をそらすために気晴らしに逃げ込むと彼は分析した。そして人間の悲惨の自覚は、神への信仰によってこそ救われるとした。
また、合理的推理の幾何学的精神と、繊細な直観で全体をとらえる繊細の精神を区別し、理性万能の考え方に警鐘を鳴らした点も、同時代のデカルトとの違いとして重要である。

ひっかけポイント
理性を万能視したデカルトとの混同が定番。パスカルは考えることに尊厳を認めつつ、人間の悲惨と信仰の必要も説いた。

選択肢の確認

①「パスカル」
正しい。
正解。考える葦は『パンセ』にあるパスカルの言葉であり、宇宙に押しつぶされる弱さと、それを知る思考の偉大さの両面から人間の尊厳を考えることに見いだした。

②「デカルト」
誤り。
誤答理由: デカルトは理性による確実な知識の体系を目指した合理論の祖であり、人間の悲惨と偉大の中間者という洞察を残した資料の筆者ではない。

③「モンテーニュ」
誤り。
誤答理由: モンテーニュは『エセー』で「私は何を知るか」と自省した懐疑のモラリストであり、考える葦の言葉はパスカルのものである。

④「カント」
誤り。
誤答理由: カントは18世紀ドイツで批判哲学を打ち立てた人物であり、17世紀フランスの『パンセ』の一節である資料の筆者ではない。

覚えるポイント

  • 考える葦は『パンセ』のパスカルの言葉
  • 人間は偉大と悲惨の間の中間者
  • 幾何学的精神と繊細の精神を区別した

共通テスト攻略

  • 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
  • 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

関連問題

RN9-014RN9-016