RN9-021|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家の言葉である。「満足した豚であるよりは、不満足な人間である方がよい。満足した愚か者であるよりは、不満足なソクラテスである方がよい(要旨)」。この言葉を残した思想家として最も適切なのは誰か。
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正解: 4
正解
ミル
この問題のポイント
快楽の質的差異を示す有名な言葉から、質的功利主義のミルを特定できるかが問われる。
解説
資料はミルの『功利主義』にある有名な言葉の要旨である。ミルはベンサムの功利主義を受け継ぎつつ、快楽を量としてのみ計算する立場を修正した。
人間には感覚的快楽よりも高級な精神的快楽を求める本性があり、快楽には質の違いがあるとする質的功利主義を説いた。資料の言葉は、量的に満たされた低い快楽よりも、たとえ不満足でも質の高い精神的な生を選ぶべきだという主張を表している。
またミルは、人の行為を導く力として、良心の呵責という内的制裁を重視した。彼は道徳の理想をイエスの黄金律に見いだし、献身的な利他的行為を功利主義の最高の徳とした。
『自由論』では、他人に危害を加えない限り個人の自由は制限されないという**他者危害原理(危害原理)**を説いたことも重要である。
ひっかけポイント
量的功利主義のベンサムとの混同が定番。快楽計算と外的制裁がベンサム、質の重視と内的制裁(良心)がミルである。
選択肢の確認
①「ベンサム」
❌ 誤り。
誤答理由: ベンサムは快楽を量的に計算する立場であり、質の高低を語る資料の言葉はベンサムへの修正として述べられたものである。
②「カント」
❌ 誤り。
誤答理由: カントは快楽や幸福を道徳の基準とすること自体を退けた義務論の立場であり、快楽の質を比較する功利主義の枠内の言葉ではない。
③「アダム=スミス」
❌ 誤り。
誤答理由: アダム=スミスは共感と見えざる手で知られる道徳哲学者・経済学者であり、資料の言葉の主ではない。
④「ミル」
✅ 正しい。
正解。満足した豚より不満足な人間、というのはミル『功利主義』の言葉であり、快楽の質の違いを認めて精神的快楽を重んじる質的功利主義を象徴する。
覚えるポイント
- ミルは快楽の質的差異を認めた質的功利主義
- 良心による内的制裁を重視
- 『自由論』の他者危害原理も頻出
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。