RN9-020|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある思想家の主張である。「自然は人類を苦痛と快楽という二人の主権者の支配のもとに置いた。快楽と苦痛は、その強さや持続性などによって計算することができる。正しい行為とは、最大多数の最大幸福をもたらす行為である(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 1
正解
快楽は量として計算可能であるとみなし、社会全体の幸福の総量を最大にする行為が正しいとする考え方
この問題のポイント
ベンサムの量的功利主義の資料読解。快楽計算と最大多数の最大幸福という原理を読み取れるかが問われる。
解説
資料はベンサムの『道徳および立法の諸原理序説』の要旨である。ベンサムは、人間が快楽を求め苦痛を避ける存在であるという事実から出発し、快楽をもたらす行為が善、苦痛をもたらす行為が悪であるとする功利主義を打ち立てた。
快楽は強さ・持続性・確実性などの基準で量的に計算できるとし(快楽計算)、快楽の質的な差は考えなかった。その際、各人を一人として数え、誰も一人以上に数えないという平等の原則が前提となる。
正しい行為や立法の基準は、社会を構成する個人の幸福の総和を最大にすること、すなわち「最大多数の最大幸福」である。また人の行為を規制する**制裁(サンクション)**として、物理的・政治的(法律的)・道徳的・宗教的の四つを挙げ、特に法律的制裁を重視した。
ひっかけポイント
快楽の質的差異を認めたミルとの対比が定番。量的計算がベンサム、質の重視と内的制裁がミルである。
選択肢の確認
①「快楽は量として計算可能であるとみなし、社会全体の幸福の総量を最大にする行為が正しいとする考え方」
✅ 正しい。
正解。資料はベンサムの功利主義の要旨であり、快楽と苦痛の計算可能性を前提に、最大多数の最大幸福をもたらす行為を正しいとする量的功利主義を示している。
②「快楽には質の高低があり、たとえ量が少なくても質の高い精神的快楽を重視すべきだという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 快楽の質的な差を認めて精神的快楽を重視したのはミルであり、量の計算に徹したベンサムの立場とは異なる。
③「行為の正しさは結果とは無関係に、義務に従おうとする動機の善さのみによって決まるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 動機の善意志のみで善悪を判断するのはカントの動機主義であり、結果としての幸福で判断する資料の立場と対立する。
④「快楽や幸福の追求は道徳とは無関係であり、禁欲によって魂を浄化することが善であるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 功利主義は快楽・幸福こそ道徳の基準とする立場であり、幸福と道徳を切り離して義務のみを善とする説明は正反対である。
覚えるポイント
- ベンサムは快楽計算による量的功利主義
- 基準は最大多数の最大幸福
- 四つの制裁のうち法律的(政治的)制裁を重視
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。