RN9-012|公共・倫理 対策問題
次の資料は、ある宗教改革者の主張である。「誰が救われるかは、人間の行いや功績とは無関係に、神の意志によって永遠の昔から定められている。人はただ神の栄光のために、自分の職業に禁欲的に励むべきである(要旨)」。この資料に示された考え方の説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正解
救われる者は神によってあらかじめ定められているとし、職業労働に禁欲的に励むことを神の栄光を現す営みとして重んじる考え方
この問題のポイント
カルヴァンの予定説と職業召命観の資料読解。救いの予定と禁欲的職業倫理の結びつきを読み取れるかが問われる。
解説
資料はスイスで宗教改革を進めたカルヴァンの主張の要旨である。カルヴァンは、誰が救われるかは人間の行いと無関係に神が永遠の昔から定めているという予定説を説いた。
人間は自分が救われているかを知ることはできないが、神から与えられた職業(召命)に禁欲的に励み、その成功を通じて神の栄光を現すことが、救いの確信につながるとされた。
この教えは商工業者の勤勉と蓄財を宗教的に肯定することになり、社会学者マックス=ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で、この禁欲的職業倫理が資本主義の精神の形成を促したと分析した。
カルヴァン派はジュネーヴでの神権政治でも知られる。
ひっかけポイント
善行や寄進で救われるとする考えはカルヴァンが否定した立場。予定説では人間の行いは救いの条件にならない点を正確に押さえる。
選択肢の確認
①「善行を積み重ねることや教会への寄進によって、人は自らの力で救いを獲得できるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 善行や寄進による救いの獲得は、宗教改革が批判した当時のカトリック教会の実践に近い考え方であり、人間の行いと救いを切り離す予定説と正反対である。
②「世俗の職業や労働は卑しい営みであり、修道院にこもって祈りに専念することこそ尊いという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 職業労働を卑しみ修道院の祈りを尊ぶのは中世的な職業観であり、世俗の職業を神の召命として肯定する資料の趣旨と対立する。
③「救われるかどうかは、各人がその都度自由意志で信仰を選び直すことによって決まるという考え方」
❌ 誤り。
誤答理由: 救いを各人の自由意志の選択に委ねる考えは、神の永遠の昔からの決定という予定説の核心を否定するものである。
④「救われる者は神によってあらかじめ定められているとし、職業労働に禁欲的に励むことを神の栄光を現す営みとして重んじる考え方」
✅ 正しい。
正解。資料はカルヴァンの予定説と職業召命観の要旨であり、救いは神の永遠の決定によるとしたうえで、職業への禁欲的な勤勉を神の栄光を現す営みとして重んじた。
覚えるポイント
- カルヴァンは予定説を説いた
- 職業は召命であり禁欲的労働が神の栄光を現す
- ウェーバーが資本主義の精神との関連を分析
共通テスト攻略
- 資料を先に観察:題名・年代・作成者・注記・凡例・単位を確認し、資料に直接示された事実と、知識から推測した内容を分ける。
- 既習事項と接続:資料中の固有名詞・制度・数量の変化を手掛かりに、同時代の政治・社会・対外関係へ結び付ける。資料にないことを印象だけで補わない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。