RN9-054|公共・倫理 対策問題
人文主義者エラスムスと宗教改革者ルターの論争についての説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 2
正解
エラスムスは救いにおける人間の自由意志の働きを認めたのに対し、ルターは人間の意志は罪の奴隷であり救いはただ神の恵みによるとして反論した
この問題のポイント
自由意志論争の対比。人文主義と宗教改革が共有した教会批判と、人間観をめぐる決定的な対立の両面が問われる。
解説
ネーデルラントの人文主義者エラスムスは、『愚神礼賛』で聖職者の腐敗を風刺し、ギリシア語原典による新約聖書の校訂を行うなど、人文主義の立場から教会の改革を求めた。その学問はルターにも影響を与え、当初両者は教会批判で通じ合っていた。
しかし人間観をめぐって両者は決裂する。エラスムスは『自由意志論』で、救いにおいて人間の自由意志が神の恵みに協力する余地を認めた。人間性への信頼という人文主義の精神である。
これに対しルターは『奴隷意志論』で、原罪を負う人間の意志は罪の奴隷であり、救いは人間の意志や行いによらず、ただ神の恵みのみによると反論した。
この自由意志論争は、人間の可能性を信頼するルネサンスと、神の絶対性を強調する宗教改革の思想的な違いを象徴する出来事である。
ひっかけポイント
自由意志を認める側と否定する側の入れ替えが定番。人文主義=自由意志の擁護、ルター=奴隷意志と対応させる。
選択肢の確認
①「両者はともに、古典や聖書の原典を研究することに反対した」
❌ 誤り。
誤答理由: エラスムスは聖書の原典研究を行い、ルターも聖書を翻訳しており、原典研究への反対という説明は両者の学問と正反対である。
②「エラスムスは救いにおける人間の自由意志の働きを認めたのに対し、ルターは人間の意志は罪の奴隷であり救いはただ神の恵みによるとして反論した」
✅ 正しい。
正解。エラスムスは救いにおける自由意志の協力を認める人文主義の立場をとり、ルターは奴隷意志論で人間の意志の無力と神の恵みのみによる救いを主張して論争した。
③「エラスムスは人間の意志を罪の奴隷としたのに対し、ルターは自由意志の働きを擁護した」
❌ 誤り。
誤答理由: 論争の両者の立場が入れ替わっている。自由意志の擁護がエラスムス、奴隷意志がルターである。
④「両者はともに、教会の腐敗を批判することは信仰に反すると考えた」
❌ 誤り。
誤答理由: 両者はともに教会の腐敗を批判した点では共通しており、批判を信仰に反するとしたという説明は誤りである。
覚えるポイント
- エラスムスは『愚神礼賛』の人文主義者
- 自由意志のエラスムス対奴隷意志のルター
- 論争はルネサンスと宗教改革の人間観の違いを象徴
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。