RN6-003|公共・倫理 対策問題
『愚神礼賛』を著した人文主義者エラスムスの説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 3
正解
痴愚の女神に世の中を風刺させる形式で、聖職者や教会の堕落を批判した
この問題のポイント
「人文主義の王」と呼ばれたエラスムスと著作『愚神礼賛』の内容を問う問題。風刺による教会批判、という形式が手がかりになる。
解説
ネーデルラント出身のエラスムスは、16世紀最大の人文主義者と呼ばれる。主著『愚神礼賛』では、痴愚の女神モリアが自らを礼賛する演説をするという風刺の形式を用いて、形式化した信仰や神学者の空論、聖職者や教会の堕落を痛烈に批判した。
またエラスムスはギリシア語原典に基づく新約聖書の校訂版を出版し、聖書そのものに立ち返る学問的な基礎を整えた。この仕事は後のルターの聖書翻訳にも影響を与えたため、「エラスムスが産んだ卵をルターがかえした」ともいわれる。
ただしエラスムス自身は教会の分裂を望まず、あくまで内部からの改革と平和を求めた点で、ルターとは立場を異にした。
風刺と学問による批判にとどまったエラスムスと、教会制度と正面から対決したルターとの違いは、試験でもよく問われる対比である。
ひっかけポイント
95か条の論題はルター、『ユートピア』は友人トマス・モア、ジュネーヴの改革はカルヴァン。同時代の人物の代表作の入れ替えが定番のひっかけである。
選択肢の確認
①「『ユートピア』を著し、囲い込みで農民が苦しむイギリス社会を批判した」
❌ 誤り。
誤答理由: 『ユートピア』で囲い込みを批判したのはエラスムスの友人であるイギリスのトマス・モアである。
②「ジュネーヴで予定説に基づく厳格な宗教改革を実行した」
❌ 誤り。
誤答理由: ジュネーヴで予定説に基づく改革を行ったのはカルヴァンであり、エラスムスは生涯カトリック教会にとどまった人文主義者である。
③「痴愚の女神に世の中を風刺させる形式で、聖職者や教会の堕落を批判した」
✅ 正しい。
正解。エラスムスは『愚神礼賛』で、痴愚の女神モリアに語らせる風刺の形式を用いて、聖職者や教会の堕落、形式化した信仰を批判した。
④「95か条の論題を発表して贖宥状の販売を正面から批判し、宗教改革の口火を切った」
❌ 誤り。
誤答理由: 95か条の論題で贖宥状を批判し宗教改革の口火を切ったのはルターである。エラスムスは風刺による批判にとどまり教会分裂は望まなかった。
覚えるポイント
- エラスムス=『愚神礼賛』で教会・聖職者を風刺
- 新約聖書の校訂で聖書研究の基礎を築く
- 教会の分裂は望まず、ルターとは一線を画した
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。