KO5-013|公共・政治経済 対策問題
和辻哲郎の倫理学の説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正解
人間を個人であると同時に社会的存在でもある間柄的存在としてとらえ、倫理学を人間の学として構想した
この問題のポイント
和辻倫理学の核心である間柄的存在の理解を問う。個人主義的人間観への批判という文脈と、個人の否定ではない点の両方を押さえる。
解説
和辻哲郎は大正から昭和にかけて活躍した倫理学者で、『人間の学としての倫理学』や『倫理学』を著した。
和辻は、人間という言葉が、個々の人であると同時に世の中・世間をも意味することに注目した。人間は孤立した個人としてだけ存在するのではなく、親子・友人・同僚といった具体的な間柄において存在する。すなわち人間は個人性と社会性の二重性をもつ間柄的存在である。
この立場から和辻は、人間を孤立した個人としてとらえる西洋近代の個人主義的人間観を一面的だと批判した。ただし、個人を否定して社会に埋没させるのでもなく、個人と社会がともに否定し合い生かし合う運動の中に倫理があるとした。
また『風土』では、モンスーン・砂漠・牧場という風土の類型が人間の在り方に与える影響を考察したことでも知られる。
ひっかけポイント
間柄的存在は個人の否定でも社会への埋没でもなく、個人性と社会性の二重性がポイント。自己本位は夏目漱石の概念で、人物の入れ替えにも注意。
選択肢の確認
①「人間を個人であると同時に社会的存在でもある間柄的存在としてとらえ、倫理学を人間の学として構想した」
✅ 正しい。
正解。和辻哲郎は、人間が個人であると同時に世の中でもあるという二重性に着目し、人間を間柄的存在ととらえて、倫理学を人間の学として構想した。
②「人間は完全に独立した個人であり、社会関係は人間の本質に関わらないとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 人間を孤立した個人とみなし社会関係を本質から外す見方こそ、和辻が一面的と批判した西洋近代の個人主義的人間観である。
③「他人本位を脱して自己本位に立つことを文明批評として説いた」
❌ 誤り。
誤答理由: 他人本位から自己本位への転換は夏目漱石の思想である。和辻の間柄的存在と人物を入れ替えた選択肢。
④「西洋哲学を排して、日本の思想だけで倫理学を構築すべきだとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 和辻は西洋哲学を排除したのではなく、ハイデガーらの西洋哲学を深く研究した上で、それを踏まえて独自の倫理学を築いた。
覚えるポイント
- 人間は個人性と社会性の二重性をもつ間柄的存在
- 倫理学を人間の学として構想、個人主義的人間観を批判
- 風土ではモンスーン・砂漠・牧場の類型を考察
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。