KO5-050|公共・政治経済 対策問題
世代間倫理の説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正解
まだ生まれていない将来世代の生存条件を損なわない責任を、現在世代が負うという考え方である
この問題のポイント
世代間倫理の定義を問う。同意も反論もできない将来世代に対して、現在世代が一方的に責任を負うという非対称性が核心である。
解説
世代間倫理とは、現在世代は、まだ生まれていない将来世代の生存可能性や生活条件を損なわない責任を負う、という考え方である。
従来の倫理は、同じ時代を生きる人間どうしの相互的な関係を前提としてきた。しかし、資源の枯渇、気候変動、放射性廃棄物のように影響が数百年・数万年に及ぶ問題では、被害を受ける将来世代は現在の意思決定に参加できず、同意も抗議もできない。この非対称な関係において、力をもつ現在世代の側が一方的に責任を負うべきだと考えるのが世代間倫理である。哲学者ヨナスは、科学技術文明の巨大な力に見合う新しい責任の倫理を説いた。
この考え方は、将来世代のニーズを損なわずに現在のニーズを満たすという持続可能な開発の定義(1987年の国連の委員会報告)に取り入れられ、環境政策の基本理念となっている。年金など社会保障の世代間公平の議論にも通じるが、それだけを指す言葉ではない。
ひっかけポイント
「意思決定に参加できないから配慮しなくてよい」は、まさにその非対称性ゆえに責任を負うという世代間倫理の論理を逆にした誤り。年金問題への限定も定義を狭めすぎている。
選択肢の確認
①「将来世代は現在の意思決定に参加できないので、配慮の対象にはならないとする考え方である」
❌ 誤り。
誤答理由: 将来世代が意思決定に参加できないからこそ、力をもつ現在世代が責任を負うべきだというのが世代間倫理の論理である。配慮の対象外とするのは論理の逆転。
②「高齢世代と若年世代の間の年金負担の調整だけを指す言葉である」
❌ 誤り。
誤答理由: 年金の世代間負担は関連する論点の一つにすぎない。世代間倫理は環境・資源など将来世代の生存条件全般に関わる、より広い概念である。
③「資源は現在世代が使い尽くしてよいとする考え方である」
❌ 誤り。
誤答理由: 資源の使い尽くしは将来世代の生存条件を損なう行為であり、世代間倫理が否定する態度の典型である。
④「まだ生まれていない将来世代の生存条件を損なわない責任を、現在世代が負うという考え方である」
✅ 正しい。
正解。世代間倫理は、意思決定に参加できない将来世代の生存条件について、現在世代が一方的に責任を負うという考え方で、持続可能な開発の理念の基礎にある。
覚えるポイント
- 現在世代が将来世代の生存条件に一方的に責任を負う
- 将来世代は同意も反論もできない非対称な関係
- 持続可能な開発の定義に反映、ヨナスの責任の倫理
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。