KO8-010|公共・政治経済 対策問題
ロールズが「無知のヴェール」という仮定を用いて主張した内容として最も適切なものはどれか。
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正解: 1
正解
自分の地位や能力を知らない状態で選ばれる原理こそが、公正な正義の原理である
この問題のポイント
ロールズの「公正としての正義」の導き方を問う。無知のヴェールという思考実験の意味を理解しているかがポイント。
解説
ロールズは20世紀アメリカの哲学者で、著書「正義論」において功利主義を批判し、「公正としての正義」を唱えた。功利主義は全体の幸福を優先するあまり、少数者の犠牲を正当化しかねないからである。
ロールズは、社会のルールを決める人々が、自分の地位・財産・能力・性別などを一切知らないという仮想状態(原初状態)を想定した。この「無知のヴェール」をかぶった状態では、誰もが自分が最も不遇な立場になる可能性を考えるため、特定の人だけに有利な原理は選ばれない。
こうして選ばれるのが、平等な自由の原理と、機会均等の原理、そして不平等は最も不遇な人々の利益を改善する場合にのみ許されるという格差原理である。恵まれない人への配慮を正義の中に組み込んだ点が最大の特徴である。
ひっかけポイント
幸福の総量の最大化は功利主義であり、ロールズが批判した相手。ロールズは結果の総量ではなく、最も不遇な人の状態に注目する。
選択肢の確認
①「自分の地位や能力を知らない状態で選ばれる原理こそが、公正な正義の原理である」
✅ 正しい。
正解。ロールズは自分の地位・能力を知らない原初状態(無知のヴェール)で全員が合意できる原理こそ公正な正義の原理だとした。
②「社会全体の幸福の総量を最大にする分配こそが正義である」
❌ 誤り。
幸福の総量の最大化は功利主義の考え方であり、少数者の犠牲を許しかねないとしてロールズが批判した立場である。
③「市場での自由な取引の結果は、どのようなものでも正義にかなう」
❌ 誤り。
市場の結果を無条件に正義とする立場はロールズではなく、リバタリアニズム(自由至上主義)に近い。ロールズは格差原理による是正を説いた。
④「正義の内容は文化ごとに異なるため、普遍的な原理は存在しない」
❌ 誤り。
ロールズは特定の文化を超えて合意可能な普遍的な正義の原理を導こうとしたのであり、相対主義の立場ではない。
覚えるポイント
- 無知のヴェール=自分の立場を知らずに原理を選ぶ仮定
- 公正としての正義、著書は「正義論」
- 格差原理=不平等は最も不遇な人の利益になる場合のみ許容
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。