PE2-A06|公共・政治経済 対策問題
法治主義についての説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正解
かつてのドイツで発達した形式的な法治主義は、法律の内容の正しさよりも法律に基づくことを重視したため、悪法による支配を許すおそれがあった
この問題のポイント
法の支配と法治主義の違いを問う問題。「内容の正しさまで問う法の支配」と「形式を重視した法治主義」の対比で解ける。
解説
法治主義は、19世紀のドイツで発達した考え方で、行政や裁判は議会の制定した法律に基づいて行われなければならない、とする原理である。
権力の行使に法律の根拠を要求する点では、法の支配と共通の役割を果たす。しかしかつてのドイツの法治主義は、法律の内容が正義にかなうかどうかを問わず、法律という形式を満たせばよいとする傾向が強かった(形式的法治主義)。
その弱点が最悪の形で現れたのがナチス・ドイツである。ヒトラー政権は、全権委任法などの「合法的」な手続を通じて独裁を確立し、法律の形式をまとった人権侵害を行った。悪法もまた法となってしまったのである。
この反省から、第二次世界大戦後のドイツは、法律の内容の正しさまで問う実質的法治主義へ転換し、強力な憲法裁判所による違憲審査制を設けた。現代では、法の支配と実質的法治主義は実際上ほぼ同じ内容を意味するようになっている。
ひっかけポイント
「法の支配も内容を問わない」とする選択肢は、両原理の違いを消す誤り。ナチスの支配が「合法」の形式をとった歴史と、戦後の実質的法治主義への転換をセットで押さえる。
選択肢の確認
①「現代のドイツでは、法律の内容の正しさを問わない形式的な法治主義がそのまま維持されている」
❌ 誤り。
誤答理由: 戦後のドイツは内容の正しさを問う実質的法治主義へ転換し、憲法裁判所による違憲審査制を整備した。
②「かつてのドイツで発達した形式的な法治主義は、法律の内容の正しさよりも法律に基づくことを重視したため、悪法による支配を許すおそれがあった」
✅ 正しい。
正解。かつてのドイツの形式的法治主義は法律の内容よりも形式を重視したため、ナチスの合法的独裁のような悪法による支配を許す弱点があった。
③「法の支配も形式的な法治主義と同様に、法律の形式さえ整っていれば内容は問わないとする原理である」
❌ 誤り。
誤答理由: 法の支配は権力を縛る法の内容が正義にかなうことまで求める原理であり、内容を問わないとする説明は法治主義との違いを消している。
④「法治主義の下では、行政権の行使に法律の根拠は必要ないとされた」
❌ 誤り。
誤答理由: 法治主義は行政や裁判が法律に基づくことをまさに要求する原理であり、法律の根拠が不要という説明は定義に反する。
覚えるポイント
- 形式的法治主義=法律の形式重視、内容を問わず
- ナチスの合法的独裁がその危険を実証
- 戦後は内容の正しさを問う実質的法治主義へ転換
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。