RN2-B07|公共・倫理 対策問題
アイデンティティの拡散についての説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正解
自分が何者であるかの確信がもてず、進路や生き方を主体的に選べなくなった状態を、エリクソンはアイデンティティの拡散と呼んだ
この問題のポイント
アイデンティティ確立の失敗の型を問う問題。「拡散=自分を見失い選択できない状態」という定義と、青年期の危機である点がわかれば解ける。
解説
青年期の発達課題であるアイデンティティの確立は、常に順調に進むとは限らない。エリクソンは、確立に対する危機の状態をアイデンティティの拡散(同一性の拡散、役割の混乱)と呼んだ。
拡散の状態では、「自分が何者なのか」「何をしたいのか」の確信がもてず、進路や職業などの重要な選択を主体的に決められなくなる。何をしても自分のことと感じられない空虚感、時間的な展望の喪失、人との親密な関係を結べない不安などが現れるとされる。無気力状態(アパシー)や、決断の回避が長引くこともある。
これは確立の「完成」ではなく、確立の危機・失敗の側であり、青年期にこそ典型的に現れる。ただしエリクソンは、危機を経験すること自体は異常ではなく、迷いと模索を通じてこそ確かなアイデンティティに至ると考えた。青年が部活動・進路・恋愛・アルバイトなどで**さまざまな役割を試すこと(役割実験)**は、この模索の健全な形であり、一つの役割への固定とは反対の営みである。
ひっかけポイント
拡散を「確立の完成」とする逆転が定番。拡散は青年期の危機であり老年期特有ではない。役割実験は多様な役割を試すことで、固定とは正反対。
選択肢の確認
①「自分が何者であるかの確信がもてず、進路や生き方を主体的に選べなくなった状態を、エリクソンはアイデンティティの拡散と呼んだ」
✅ 正しい。
正解。エリクソンは、自分が何者かの確信がもてず主体的な選択ができなくなった状態をアイデンティティの拡散と呼んだ。
②「アイデンティティの拡散とは、自己の確立が完全に達成された理想的な状態を指す」
❌ 誤り。
誤答理由: 拡散はアイデンティティ確立の危機・失敗の状態であり、確立の完成した理想的状態とする説明は正反対である。
③「アイデンティティの拡散は老年期に特有の現象であり、青年期には生じないとされる」
❌ 誤り。
誤答理由: アイデンティティの拡散は、自己の確立を課題とする青年期にこそ典型的に現れる。
④「役割実験とは、一つの役割に自分を固定し、他の可能性を一切試さないことをいう」
❌ 誤り。
誤答理由: 役割実験はさまざまな役割を試しながら自分らしさを模索することであり、一つの役割への固定はその正反対である。
覚えるポイント
- 拡散=自分を見失い主体的な選択ができない状態
- アイデンティティ確立の危機として青年期に現れる
- 役割実験=さまざまな役割を試す健全な模索
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。