RN4-056|公共・倫理 対策問題
陽明学の知行合一と致良知についての説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 1
正解
知ることと行うことは本来一体であるとし、生まれつき備わる道徳的判断力である良知を発揮せよと説いた
この問題のポイント
知行合一(知と行の一体性)と致良知(良知を発揮しきる)という陽明学の実践論を問う問題。
解説
王陽明の実践論の柱は二つある。
第一が知行合一である。「知は行の始めであり、行は知の完成である」(要旨)。親孝行を本当に知っているとは、実際に孝を行っていることにほかならない。知っていても行わないのは、実はまだ知らないのである。先に知識を完成させてから行動するという朱子学的な順序(先知後行)を退け、知と行は本来一つであるとした。
第二が致良知である。良知とは、孟子に由来する言葉で、学ばずして善悪を判断できる、生まれつき備わった道徳的判断力である。良知は聖人だけでなく万人に等しく備わる。この良知を、私欲に曇らせることなく、あらゆる場面で完全に発揮しきること(良知を致す)が、致良知である。
万人の良知への信頼に立つ陽明学は、身分を超えた実践の思想として広がり、日本では中江藤樹や幕末の志士たちに影響を与えた。
ひっかけポイント
先知後行(まず知識、のち実践)は陽明学が批判した立場。良知は万人に備わる点も重要で、聖人限定とする説明は誤り。
選択肢の確認
①「知ることと行うことは本来一体であるとし、生まれつき備わる道徳的判断力である良知を発揮せよと説いた」
✅ 正しい。
正解。陽明学は知ることと行うことは本来一体である(知行合一)とし、万人に生まれつき備わる道徳的判断力である良知を発揮しきる致良知を説いた。
②「まず知識を完全にしたのち、はじめて行動に移るべきであるとした」
❌ 誤り。
誤答理由: まず知識を完成させてから行動するという先知後行の順序は朱子学的な立場であり、王陽明はこれを退けて知行の一体性を説いた。
③「良知は聖人だけに備わる能力であり、庶民には道徳的判断はできないとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 良知は聖人に限らず万人に等しく備わるというのが陽明学の核心であり、庶民に道徳的判断ができないという説明は正反対である。
④「知と行はまったく無関係であり、学問は実践に影響しないとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 知は行の始め、行は知の完成とされ、知と行は不可分である。無関係とする説明は知行合一の否定である。
覚えるポイント
- 知行合一=知と行は本来一体
- 良知=万人に備わる生得の道徳的判断力
- 致良知=良知を私欲に曇らせず発揮しきる
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。