RN7-033|公共・倫理 対策問題
中江藤樹が受容した陽明学の考え方の説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 3
正解
人にはみな善悪を判断する良知が備わっており、知ることと行うことは一体である(知行合一)とする
この問題のポイント
陽明学の中心概念である良知と知行合一の理解を問う問題。
解説
明の王陽明が開いた陽明学は、朱子学が理を事物の側に求めて知識の探究(窮理)を重んじたのに対し、心即理、すなわち理は人間の心そのものに備わっていると説いた。
人の心には、学ばなくても善悪を判断できる生まれつきの道徳的能力である良知が備わっている。求められるのは、この良知を曇らせずに十分に発揮すること(致良知)である。
また、真に知ることは必ず行いとなって現れるのであり、知って行わないのはまだ本当に知らないのと同じだとする知行合一を説き、実践を重んじた。
晩年の中江藤樹はこの陽明学に共鳴し、万人に良知が備わることを前提に、身分を超えた道徳の実践を説いた。知識の集積よりも心の純粋なはたらきと実行を重んじる陽明学は、幕末の大塩平八郎や吉田松陰らの行動主義にも影響を与えたとされる。
ひっかけポイント
理を外物に求める朱子学と、心に求める陽明学の対比が判別点。文献学的方法は古学・古文辞学、性悪説は荀子であり、系統の混同に注意。
選択肢の確認
①「人間の本性は悪であり、礼による矯正が不可欠であるとする」
❌ 誤り。
誤答理由: 性悪説と礼による矯正は荀子の説であり、良知という善なる能力を万人に認める陽明学と正反対である。
②「俗世を離れて出家し、坐禅に専念することを最高の生き方とする」
❌ 誤り。
誤答理由: 出家して坐禅に専念するのは禅宗の立場であり、日常の人間関係の中での道徳実践を重んじる陽明学の教えではない。
③「人にはみな善悪を判断する良知が備わっており、知ることと行うことは一体である(知行合一)とする」
✅ 正しい。
正解。陽明学は、万人に備わる良知を発揮し(致良知)、知ることと行うことを一体とみる知行合一を説く実践の学である。
④「道徳の根拠は外部の書物の厳密な文献学的研究によってのみ知られるとする」
❌ 誤り。
誤答理由: 道徳の根拠を外部の書物の文献学的研究に求めるのは古学・古文辞学の方法であり、心に理を求める陽明学とは異なる。
覚えるポイント
- 陽明学=心即理・良知・知行合一
- 致良知=生まれつきの良知を発揮する
- 実践重視で幕末の行動主義にも影響
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。