RN9-052公共・倫理 対策問題

倫理C 日本の思想(4) 近現代日本の思想

明治期の思想家、福沢諭吉と中江兆民の立場の比較として最も適切なものはどれか。

解答・解説を見る

正解: 4

正解

福沢は天賦人権論と実学によって一身独立を説いたのに対し、兆民はルソーの思想を紹介し、恵み与えられた民権を人民が育て実質化することを説いた

この問題のポイント

明治啓蒙思想の二人の対比。独立自尊・実学の福沢と、東洋のルソーと呼ばれた兆民の民権論の対応が問われる。

解説

福沢諭吉は『学問のすゝめ』で「天は人の上に人を造らず」と天賦人権論を説き、封建的な身分意識を批判した。人が独立するには生活に役立つ実学(数理学と独立心)を学ぶことが必要であり、「一身独立して一国独立す」と、個人の独立(独立自尊)を国の独立の基礎とした。
一方中江兆民は、ルソーの『社会契約論』を漢文で訳した『民約訳解』を著し、「東洋のルソー」と呼ばれた。彼は『三酔人経綸問答』などで、為政者から**恵み与えられた民権(恩賜的民権)であっても、人民が自らこれを育て自ら勝ち取った民権(恢復的民権)**へと実質化していくべきだと説き、自由民権運動の理論的支柱となった。
文明開化と民権確立という共通の課題への、啓蒙と急進民権というアプローチの違いを押さえたい。

ひっかけポイント
実学・独立自尊とルソー紹介・民権論の担い手の入れ替えが定番。『学問のすゝめ』の福沢、『民約訳解』の兆民で区別する。

選択肢の確認

①「福沢はルソーの社会契約論を翻訳紹介したのに対し、兆民は実学による独立自尊を説いた」
誤り。
誤答理由: 二人の役割が入れ替わっている。『民約訳解』でルソーを紹介したのは兆民、実学と独立自尊は福沢である。

②「両者はともに、民権思想を危険視して国民の政治参加に反対した」
誤り。
誤答理由: 福沢は国民の独立を、兆民は民権の拡充を説いており、政治参加への反対という説明はどちらにも当てはまらない。

③「両者はともに、儒学の教養こそ文明開化の基礎であると主張した」
誤り。
誤答理由: 福沢は儒学的な旧習を虚学として批判し実学を勧めており、儒学を文明開化の基礎とする説明は正反対である。

④「福沢は天賦人権論と実学によって一身独立を説いたのに対し、兆民はルソーの思想を紹介し、恵み与えられた民権を人民が育て実質化することを説いた」
正しい。
正解。福沢諭吉は天賦人権論と実学によって独立自尊・一身独立を説き、中江兆民はルソーを紹介して恩賜的民権を恢復的民権へ育てることを説いた。

覚えるポイント

  • 福沢は天賦人権・実学・独立自尊
  • 兆民は東洋のルソー、恩賜的民権を恢復的民権へ
  • 兆民は自由民権運動の理論的支柱

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 比較軸をそろえる:二つの時代・地域を、政治の担い手、土地・税制、対外関係、社会への影響など同じ軸で比べ、共通点と相違点を混同しない。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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