KO5-020|公共・政治経済 対策問題
センの潜在能力(ケイパビリティ)の考え方の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 3
正解
財や所得の量だけでなく、人が実際に選び取ることのできる生き方の幅の平等を重視すべきだとした
この問題のポイント
センの潜在能力アプローチの理解を問う。財の量ではなく、財を使って実現できる生き方の幅に注目する発想の転換が核心である。
解説
インド出身の経済学者センは、アジア初のノーベル経済学賞受賞者であり、貧困や飢饉の研究から福祉のとらえ方を根本から問い直した。
従来の考え方は、所得や財の量が等しければ福祉も等しいとみなしがちだった。しかしセンによれば、同じ財を持っていても、健康状態や障害の有無、社会環境によって、その財から実現できる生活は人それぞれ異なる。
そこでセンは、財そのものではなく、財を利用して達成できる状態や活動(機能)に注目し、人が選択できる機能の組合せの幅を潜在能力(ケイパビリティ)と呼んだ。十分に栄養をとる、教育を受ける、社会に参加するなど、本人が価値を認める生き方を実際に選び取れる自由の平等こそが重要だとしたのである。
この考え方は、国連開発計画の人間開発指数や、人間の安全保障の理念に大きな影響を与えた。
ひっかけポイント
所得の平等だけで福祉の平等とみなす立場こそ、センが批判した考え方。潜在能力は知能指数のような固定的能力ではなく、選択できる生き方の幅を指す点を取り違えない。
選択肢の確認
①「社会全体の快楽の総量を最大化することが福祉の唯一の基準であるとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 快楽の総量の最大化は功利主義の基準である。センは効用だけでは人の福祉を測れないとして潜在能力アプローチを提唱した。
②「潜在能力とは、遺伝的に固定された知能の高さを意味するとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 潜在能力は遺伝的に固定された知能ではなく、選択できる生き方・活動の幅を指す概念である。用語の意味の取り違え。
③「財や所得の量だけでなく、人が実際に選び取ることのできる生き方の幅の平等を重視すべきだとした」
✅ 正しい。
正解。センは、財や所得の量ではなく、財を用いて達成できる機能の組合せの幅、すなわち本人が価値を認める生き方を選び取れる潜在能力(ケイパビリティ)の平等を重視した。
④「所得さえ平等であれば、人々の福祉は等しく実現されているとみなした」
❌ 誤り。
誤答理由: 所得の平等だけで福祉の平等とみなす財中心の考え方こそ、健康状態や社会環境による違いを見落とすとしてセンが批判した立場である。
覚えるポイント
- 潜在能力は選択できる機能の組合せの幅
- 財の量ではなく実現できる生き方の自由に注目
- 人間開発指数や人間の安全保障に影響
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。