PE2-B10|公共・政治経済 対策問題
生存権をめぐる訴訟についての説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正解
堀木訴訟で最高裁は、社会保障立法について国会の広い裁量を認め、憲法25条違反の主張を退けた
この問題のポイント
生存権訴訟の判例を問う問題。「朝日訴訟・堀木訴訟とも広い裁量を認めて違憲主張を退けた」という判例の一貫した立場がわかれば解ける。
解説
憲法25条の生存権は、国家に積極的な施策を求める社会権の中心的権利である。その法的性格をめぐる代表的訴訟が2つある。
朝日訴訟は生活保護基準の低さが争われた事件で、最高裁(1967年)は原告の死亡により訴訟は終了したとした上で、念のためとして、25条は個々の国民に具体的権利を直接与えたものではなく、基準の設定は厚生大臣の裁量に委ねられるとの見解を示した。
堀木訴訟は、障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止規定が争われた事件である。最高裁(1982年)は、25条をどのような立法で具体化するかは国会の広い裁量に委ねられており、著しく合理性を欠く場合でなければ違憲とならないとして、併給禁止を合憲と判断した。
このように判例は一貫して、生存権の実現方法を立法府・行政府の裁量に委ねる立場(プログラム規定説的立場)をとっている。生存権は自由権ではなく社会権であり、国家の不作為ではなく作為を求める権利である点も基本として押さえたい。
ひっかけポイント
堀木訴訟の結論は「合憲」であり、違憲とする逆転が定番。朝日訴訟は原告死亡で訴訟終了とされた点も、継続としたとする誤りに注意。
選択肢の確認
①「生存権は、国家の介入を排除する自由権に分類される権利である」
❌ 誤り。
誤答理由: 生存権は国家に積極的な施策を求める社会権に分類される。国家の介入排除を本質とする自由権とは性格が異なる。
②「堀木訴訟で最高裁は、社会保障立法について国会の広い裁量を認め、憲法25条違反の主張を退けた」
✅ 正しい。
正解。堀木訴訟(1982年)で最高裁は、25条の具体化は立法府の広い裁量に委ねられるとして併給禁止規定を合憲とし、憲法25条違反の主張を退けた。
③「堀木訴訟で最高裁は、児童扶養手当と障害福祉年金の併給禁止規定を違憲と判断した」
❌ 誤り。
誤答理由: 堀木訴訟の最高裁は併給禁止規定を違憲とせず、国会の裁量を認めて合憲と判断した。結論が逆である。
④「朝日訴訟の最高裁判決は、原告の死亡後も訴訟は当然に継続するとした」
❌ 誤り。
誤答理由: 朝日訴訟の最高裁(1967年)は、原告の死亡により訴訟は終了したとした。生活保護受給権は一身専属で相続されない。
覚えるポイント
- 朝日訴訟(1967年)=訴訟終了・具体的権利性を否定
- 堀木訴訟(1982年)=併給禁止は合憲・国会の広い裁量
- 判例は一貫して立法・行政の裁量を広く認める
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。