PE4-025|公共・政治経済 対策問題
統治行為論についての説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正解
高度に政治性のある国家行為については、裁判所は憲法判断を行わないとする考え方である
この問題のポイント
統治行為論の定義と適用例を問う問題。砂川事件と苫米地事件という2つの判例に結び付けて理解する。
解説
統治行為論とは、国の存立に関わる高度に政治性のある国家行為については、法律上の判断が可能であっても、裁判所は司法審査を差し控えるべきだとする考え方である。判断は主権者たる国民に対して責任を負う政府・国会に委ねられるべきだ、という理屈に基づく。
適用例とされる判例が2つある。
- 砂川事件(最高裁1959年):日米安全保障条約のような高度の政治性を持つ条約は、「一見極めて明白に違憲無効」でない限り司法審査になじまない、とした
- 苫米地事件(最高裁1960年):衆議院の解散の効力について、統治行為として司法審査の対象外とした
統治行為論に対しては、違憲審査制の意義を損ない、憲法問題の判断を放棄するものだという批判も強い。司法の違憲審査権の限界を示すテーマとして頻出である。
ひっかけポイント
砂川事件(安保条約・一見極めて明白に違憲無効の留保付き)と苫米地事件(衆議院解散・全面的に審査外)の使い分けが細かい論点。議員の行為一般が対象外になるわけではない。
選択肢の確認
①「国会議員の行為はすべて裁判の対象にならないとする考え方である」
❌ 誤り。
誤答理由: 国会議員の行為一般が裁判の対象外となるわけではない。統治行為論の対象は国の存立に関わる高度に政治的な行為に限られる。
②「裁判所があらゆる政治問題について積極的に憲法判断を行うべきだとする考え方である」
❌ 誤り。
誤答理由: 統治行為論は司法の積極的判断とは正反対に、判断を回避する理論である。
③「地方公共団体の条例はすべて違憲審査の対象外だとする考え方である」
❌ 誤り。
誤答理由: 条例は違憲審査の対象に含まれる。徳島市公安条例事件など、条例の合憲性が争われた判例も存在する。
④「高度に政治性のある国家行為については、裁判所は憲法判断を行わないとする考え方である」
✅ 正しい。
正解。統治行為論は、高度に政治性のある国家行為について裁判所が憲法判断を差し控えるという考え方で、砂川事件・苫米地事件で用いられた。
覚えるポイント
- 高度に政治性のある行為は司法審査の対象外とする理論
- 砂川事件は安保条約、苫米地事件は衆議院解散
- 違憲審査の放棄につながるとの批判もある
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。