RN8-012公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(6) 実存主義とプラグマティズム

サルトルが「人間は自由の刑に処せられている」と述べた趣旨として最も適切なものはどれか。

解答・解説を見る

正解: 1

正解

人間は自由であることから逃れられず、自らの選択のすべての責任を引き受けねばならない

この問題のポイント

「自由の刑」という逆説的な表現の意味を問う。自由が恵みであると同時に、逃れられない責任の重荷でもあるという二面性が核心。

解説

サルトルによれば、人間にはあらかじめ定められた本質がなく、頼るべき神も普遍的な道徳の指図もない。人間は何を選ぶかを自分で決めるほかない存在であり、その意味で徹底的に自由である。
しかしこの自由は、気楽なものではない。選択の結果を言い訳する相手がいない以上、人間は自らの選択の全責任をひとりで引き受けねばならないからである。この逃れられない自由と責任の重さを、サルトルは「人間は自由の刑に処せられている」(要旨)と表現した。
さらにサルトルは、私の選択は私だけの問題ではないと考えた。ある生き方を選ぶことは、人間はこうあるべきだという理想像を全人類に向けて示すことでもある。だから選択の責任は全人類に対する責任へと広がる。この自覚が、社会の問題に主体的に関わる**アンガージュマン(社会参加)**の思想へとつながっていく。

ひっかけポイント
自由を幻想とみるのは構造主義などサルトル批判の側の立場。また権威への服従による安定はフロムが分析した自由からの逃走であり、サルトルの主張ではない。

選択肢の確認

①「人間は自由であることから逃れられず、自らの選択のすべての責任を引き受けねばならない」
正しい。
正解。自由の刑とは、人間は自由から逃れられず、頼るべき指図もないまま自らの選択の全責任を引き受けねばならないという意味である。

②「人間の自由は幻想であり、行動は無意識の構造によってあらかじめ決定されている」
誤り。
自由を幻想とみて行動を構造から説明するのは構造主義などの立場であり、自由を徹底的に強調するサルトルと正反対である。

③「自由は国家が国民に与える恩恵であり、義務を果たした者だけが享受できる」
誤り。
サルトルのいう自由は人間の存在そのものの条件であり、国家が恩恵として与えたり義務の対価としたりするものではない。

④「自由の重荷に耐えられない人間は、権威に服従して安定を得るのが当然である」
誤り。
権威への服従に安定を求める心理はフロムが『自由からの逃走』で分析したものであり、サルトルはそうした逃避も自らの選択だとみなす。

覚えるポイント

  • 自由の刑=自由から逃れられず全責任を負うこと
  • 選択は全人類への責任を伴う
  • この自覚がアンガージュマンにつながる

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

関連問題

RN8-011RN8-013