RN8-011|公共・倫理 対策問題
サルトルの「実存は本質に先立つ」という言葉の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 2
正解
人間はまず存在し、その後の自らの選択と行動によって自分が何であるかを作り上げていく
この問題のポイント
サルトルの実存主義の根本命題の意味を問う。存在が先で本質が後、という順序を道具(ペーパーナイフ)との対比でつかむ。
解説
サルトルは20世紀フランスの実存主義の哲学者・作家である。「実存は本質に先立つ」は、その立場を要約した有名な命題である。
たとえばペーパーナイフのような道具は、紙を切るという用途(本質)が先に考えられたうえで作られる。本質が実存に先立つのである。しかし人間には、あらかじめ定められた本質はない。人間はまず世界の中に実存し、そのあとで自らの選択と行動を通じて、自分が何者であるかを自分で作り上げていく。人間とは「自らつくるところのもの」にほかならない。
サルトルは、人間が自己を未来へ向かって投げかけ、自分のあり方を企てていくことを投企と呼んだ。神が人間の本質を定めたとする伝統的な人間観を退け、人間の自由を徹底的に強調するこの思想は、第二次世界大戦後の世界で大きな影響力を持った。主著に『存在と無』、講演をまとめた『実存主義とは何か』がある。
ひっかけポイント
本質が先に与えられているのは道具や、神の創造を前提とする人間観の側。サルトルはその逆で、実存(存在)が先、本質は後から自分で作る、と覚える。
選択肢の確認
①「人間の本質は神による創造のときにすでに与えられている」
❌ 誤り。
神が人間の本質をあらかじめ与えたとする人間観こそ、サルトルが否定した伝統的な立場である。
②「人間はまず存在し、その後の自らの選択と行動によって自分が何であるかを作り上げていく」
✅ 正しい。
正解。実存は本質に先立つとは、人間はまず存在し、その後の選択と行動(投企)によって自分が何であるかを作るという意味である。
③「人間はペーパーナイフと同じように、あらかじめ定められた用途に従って作られている」
❌ 誤り。
ペーパーナイフのような道具は用途(本質)が先に定められて作られる。人間はその逆だ、というのがサルトルの主張である。
④「人間の本質は生まれつき善であり、失われた本心を回復すればよい」
❌ 誤り。
生まれつきの善なる本性の回復は孟子ら儒学の性善説の発想であり、生得の本質を認めないサルトルとは異なる。
覚えるポイント
- 実存は本質に先立つ=人間に生まれつきの本質はない
- 人間は選択と行動(投企)によって自己を作る
- 道具は本質が先、人間は実存が先という対比
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。