RN8-028公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(7) 現代の思想

アーレントが『人間の条件』で区別した営みのうち、彼女が最も重視した「活動」の説明として適切なものはどれか。

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正解: 2

正解

言葉を交わして他者と関わり合い、公共的な空間を作り出す営み

この問題のポイント

アーレントの労働・仕事・活動の三区分を問う。「活動」だけが言論を通じた人と人との関わりであり、公共性の基盤とされた点がポイント。

解説

アーレントは『人間の条件』で、人間の営みを3つに区別した。
労働は、食べることをはじめ生命の維持のために必需品を生産し消費する営みで、その成果は消費されて消えていく。仕事は、道具・建物・芸術作品のような耐久性のある人工物を制作し、安定した世界を作る営みである。そして活動は、物を介さずに、言葉と行為によって他者と直接関わり合う営みであり、人々が互いの前に現れて意見を交わすことで公共的な空間を生み出す。古代ギリシアのポリスにおける政治がその原型である。
アーレントは、複数の異なる人間が共に生きるという事実(複数性)に応える営みとして活動を最も重視した。ところが近代では、生命維持のための労働が最上位を占め、人々が公共の言論から退いて私的な利害に閉じこもる。この公共性の喪失こそ、孤立した大衆と全体主義を準備した土壌である、と彼女は警告したのである。

ひっかけポイント
労働・仕事・活動の3つの取り違えを狙う出題が定番。消費されるものの生産=労働、耐久物の制作=仕事、言論による関わり=活動、と対応で覚える。

選択肢の確認

①「市場での取引によって利益を最大化する営み」
誤り。
市場での利益最大化の取引は三区分のいずれの定義でもなく、とりわけ活動の説明ではない。

②「言葉を交わして他者と関わり合い、公共的な空間を作り出す営み」
正しい。
正解。活動とは、言葉と行為によって他者と直接関わり合い、公共的な空間を作り出す営みであり、アーレントが最も重視した。

③「生命を維持するために生活の必需品を生産し消費する営み」
誤り。
生命維持のための生産と消費は労働の説明であり、アーレントはこれが近代で最上位を占めたことを批判的にみた。

④「道具や作品のような耐久性のある人工物を制作する営み」
誤り。
耐久性のある人工物の制作は仕事の説明であり、言論による関わりである活動とは区別される。

覚えるポイント

  • 労働=生命維持、仕事=人工物の制作、活動=言論による関わり
  • 活動が公共的空間を作り出す最も人間的な営み
  • 近代の労働優位と公共性の喪失を批判

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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