KM-35|情報Ⅰ 対策問題
令和8年度本試験 第1問 問3 T社では、あるサービスを展開している。そのサービスのスマートフォン専用のアプリを開発するにあたり、新規ユーザ登録の入力インタフェースとして、年リストをスクロールして生年を入力する方法を考える。年リストの中央に表示されている初期値は2000になっており、2008年生まれの人は、スクロール操作によりホイールを回転させ、リストの中央に2008を表示させることで入力する。この操作では、スクロールする移動距離(以下、スクロール距離と呼ぶ)は8である。また、1997年生まれの人のスクロール距離は3となる。なお、年リストの上限は2100、下限は1900とし、それより上下にはスクロールしない。 生年の初期値について、直近1年間に登録されたユーザの生年データの分布(図5)をもとに検討する。表1に生年データの分布をもとに考えた生年の初期値の候補を示す。新規に登録するユーザの生年の分布は、直近1年間に登録されたユーザの生年の分布と変わらないと考えると、この分布に対してスクロール距離の平均ができるだけ小さくなるような初期値は、表1の中のどれか。最も適当なものを選べ。

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正解: 1
正答
1
問題の整理
スクロール距離は |生年 − 初期値| という絶対値の距離です。ユーザ全員のこの距離の平均を、できるだけ小さくする初期値を選びたい——つまり「絶対値の距離の平均を最小にする点はどこか」という数学的な問いに帰着します。候補として4つの代表値の意味を確認しておきます。
- 中央値: データを小さい順に並べたときの真ん中の値(上下に人数が半々)
- 最頻値: 最も人数が多い値
- 範囲の中央: (最小値+最大値)÷2
- 最大値: いちばん大きい値
解き方
絶対値の距離の平均を最小にするのは中央値である、という性質が答えです。理由を直感的に説明します。
初期値を中央値に置いた状態から、1年ぶん右へずらしたとしましょう。すると:
- 中央値より左にいる人(全体の半分)は、全員距離が1増えます。
- 中央値より右にいる人(半分)は、距離が1減ります。
半々のうちはプラスマイナスゼロですが、さらに右へずらすほど「距離が増える側」の人数が半分を超えていくので、中央値から離れるほど必ず損になります。だから中央値(1961)が最適です。
最頻値(1967)は「一番人数が多い年」に合わせる案ですが、その他大勢の距離を考えていません。範囲の中央(1970)は端の2つの値だけで決まり、分布の形をまったく反映しません。ヒストグラムが左右非対称(右に裾が長い)なため、これらは中央値からずれてしまうのです。
ちなみに「二乗した距離の平均」を最小にするのは平均値です。絶対値なら中央値、二乗なら平均値——この対はデータ分析の重要な性質です。
選択肢の確認
1.○ 絶対値の距離の平均を最小にするのは中央値。
2.× 最頻値は「最多の1点」しか見ておらず、全体の距離は最小にならない。
3.× 範囲の中央は最小値と最大値だけで決まり、分布を反映しない。
4.× 最大値を初期値にすると大半のユーザが遠くなる。
ここだけは覚えよう
絶対値の距離の平均を最小にするのは中央値 — 二乗の距離なら平均値。分布が偏るほど両者はずれる。