PE2-A15|公共・政治経済 対策問題
多数決と民主政治についての説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 2
正解
トックビルやミルは、多数派が数の力で少数派を抑圧する多数者の専制の危険を指摘し、民主政治には少数意見の尊重が不可欠だとされる
この問題のポイント
多数者の専制という概念を問う問題。「多数決の限界を示す警告の言葉」であることと、立憲主義による歯止めの関係がわかれば解ける。
解説
民主政治は多数決を用いるが、多数の意思がそのまま正義だとは限らない。
19世紀フランスの思想家トックビルは、アメリカの民主政治を観察した『アメリカのデモクラシー』で、世論という数の力が異論を抑え込む危険を「多数者の専制」と呼んで警告した。イギリスのミルも『自由論』で、社会の多数派が少数者の自由を圧殺する専制を、政府による専制と並ぶ脅威として論じた。
つまり多数者の専制とは、多数派が常に正しいことの否定であり、民主政治が独裁に転化しうるという警告である。実際、ナチスは選挙を通じて台頭し、合法の形式をまとって人権を破壊した。
この危険への備えが、少数意見の尊重と立憲主義である。決定の前に自由な討論で少数意見を検討すること、そして思想・良心の自由のような基本的人権を多数決でも奪えない権利として憲法で保障し、違憲審査制で守ることが、民主政治を専制から区別する条件となる。
ひっかけポイント
多数者の専制を「多数派は常に正しい」の意味に反転させる選択肢が定番。多数決による人権制約を無条件に正当化する記述も、立憲主義の観点から誤りである。
選択肢の確認
①「全会一致制は、現代の大規模な社会において最も効率的な意思決定の方式である」
❌ 誤り。
誤答理由: 全会一致制は一人の反対でも決定できず、大規模な社会では意思決定が困難になる。効率性の説明として誤っている。
②「トックビルやミルは、多数派が数の力で少数派を抑圧する多数者の専制の危険を指摘し、民主政治には少数意見の尊重が不可欠だとされる」
✅ 正しい。
正解。トックビルは『アメリカのデモクラシー』、ミルは『自由論』で多数者の専制を警告し、民主政治には自由な討論と少数意見の尊重が不可欠だとされる。
③「多数決で決定されたことであれば、少数者の基本的人権を制約しても常に正当である」
❌ 誤り。
誤答理由: 基本的人権は多数決によっても奪えない権利として憲法が保障しており、多数決による人権制約を常に正当とする考えは立憲主義に反する。
④「多数者の専制とは、多数派の判断が常に正しいことを意味する言葉である」
❌ 誤り。
誤答理由: 多数者の専制は、多数派が数の力で少数派を抑圧する危険を指す警告の言葉であり、多数派の正しさを意味する言葉ではない。
覚えるポイント
- 多数者の専制=トックビル・ミルが指摘した多数決の危険
- 少数意見の尊重と自由な討論が民主政治の条件
- 人権は多数決でも奪えない(立憲主義・違憲審査制)
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。