RN6-057公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(4) ドイツ観念論と功利主義

ミルの質的功利主義についての説明として最も適切なものはどれか。

解答・解説を見る

正解: 2

正解

快楽には質の高低があるとし、「満足した豚であるよりは不満足な人間である方がよい」と述べた

この問題のポイント

ベンサムを修正したミルの質的功利主義を問う問題。有名な豚とソクラテスの比喩の意味を正しくとらえる。

解説

イギリスの哲学者ミルは、著書『功利主義』で、功利主義の立場を受け継ぎつつベンサムの理論を修正した。
ミルによれば、快楽は量だけでは測れず、質の高低がある。感覚的な快楽よりも、知性・感情・想像力・道徳感情といった人間の高い能力を用いる精神的快楽の方が質的に優れている。両方の快楽を経験した人は、多少の不満があっても必ず質の高い快楽を選ぶ。これを表すのが「満足した豚であるよりは、不満足な人間である方がよい。満足した愚か者であるよりは、不満足なソクラテスである方がよい」(要旨)という有名な言葉である。
このようにミルの功利主義は、幸福の中身として人間の尊厳や品位を重んじる質的功利主義であり、快楽をすべて同質とみたベンサムの量的功利主義と対比される。

ひっかけポイント
量的功利主義(ベンサム)と質的功利主義(ミル)の入れ替えが最頻出。ミルが上位に置いたのは精神的快楽であり、感覚的快楽ではない。

選択肢の確認

①「快楽や幸福は道徳とはまったく無関係であるとした」
誤り。
誤答理由: ミルは功利主義者として快楽(幸福)をこそ道徳の基準とした。快楽と道徳を無関係とする記述は功利主義の否定である。

②「快楽には質の高低があるとし、「満足した豚であるよりは不満足な人間である方がよい」と述べた」
正しい。
正解。ミルは快楽に質の高低を認め、満足した豚より不満足な人間、満足した愚者より不満足なソクラテスの方がよいと述べた。

③「快楽の差はすべて量の差であり、計算によって比較できるとした」
誤り。
誤答理由: 快楽の差をすべて量の差とみて計算可能とするのはベンサムの量的功利主義であり、ミルはこれを修正した。

④「精神的な快楽よりも肉体的・感覚的な快楽の方が上位にあるとした」
誤り。
誤答理由: ミルが質的に上位に置いたのは知性や道徳感情を用いる精神的快楽であり、肉体的快楽を上位とする記述は逆である。

覚えるポイント

  • ミル=『功利主義』・質的功利主義
  • 精神的快楽は感覚的快楽より質的に優れる
  • 不満足なソクラテスの比喩=人間の尊厳の重視

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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