RN8-009公共・倫理 対策問題

倫理B 西洋近現代思想(6) 実存主義とプラグマティズム

ハイデガーが『存在と時間』で論じた死への存在の説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 3

正解

自らの死の可能性を自覚的に引き受けて先駆することで、現存在は本来的な自己を取り戻す

この問題のポイント

ハイデガーの死への存在の考え方を問う。死から目を背けるのではなく、死を先駆的に自覚することで本来の自己に立ち返るという逆説がポイント。

解説

ハイデガーは20世紀ドイツの哲学者で、主著『存在と時間』において、存在の意味を問うことができる人間のあり方を現存在(ダーザイン)と名づけて分析した。現存在は世界の中に投げ出され、道具や他者と関わりながら生きる世界内存在である。
日常の中で人は、死をひとごとのように扱い、気晴らしにまぎれて自分の死から目を背けている。しかしハイデガーによれば、人間は本質的に死への存在、すなわち死という誰にも代わってもらえない可能性へと向かう存在である。
自らの死の可能性を直視し、それを先駆的に覚悟して引き受けるとき、人は世間に埋没した非本来的なあり方から抜け出し、自分の生を自分のものとして生きる本来的な自己を取り戻す。死の自覚が生の充実の条件になるという洞察であり、実存哲学の代表的な思想である。

ひっかけポイント
死は経験できないから無意味という考えは古代のエピクロスの議論。ハイデガーは逆に、死の自覚こそが本来的な生の条件だとした点をつかむ。

選択肢の確認

①「死後も魂は不滅であると確信することで安心を得るべきだと説いた」
誤り。
魂の不滅による安心はプラトンや宗教的な死生観であり、ハイデガーの死への存在の分析ではない。

②「死の不安を忘れるために日常の仕事に没頭すべきだと説いた」
誤り。
日常の仕事への没頭で死から目を背けるのは、ハイデガーがひと(ダス・マン)として批判した非本来的なあり方そのものである。

③「自らの死の可能性を自覚的に引き受けて先駆することで、現存在は本来的な自己を取り戻す」
正しい。
正解。ハイデガーは、誰にも代わってもらえない死の可能性を先駆的に覚悟して引き受けることで、現存在は本来的な自己を取り戻すとした。

④「死は誰も経験できないのだから、考えても無意味であると説いた」
誤り。
死は経験できないから考えても無意味だとするのは古代のエピクロスの議論であり、死の自覚を重んじるハイデガーと正反対である。

覚えるポイント

  • 人間(現存在)は死への存在である
  • 死への先駆的な覚悟が本来的自己を取り戻させる
  • 主著は『存在と時間』、現存在は世界内存在

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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