RN8-040|公共・倫理 対策問題
センが提唱した潜在能力(ケイパビリティ)の考え方として最も適切なものはどれか。
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正解: 4
正解
福祉は、財の量そのものではなく、財を用いて実現できる生き方や活動の幅によって評価すべきである
この問題のポイント
センの潜在能力アプローチを問う。財や所得の量ではなく、それによって実際に何ができるかという可能性の幅に注目する点が核心。
解説
センはインド出身の経済学者・哲学者で、貧困と不平等の研究によりアジアで初めてノーベル経済学賞を受賞した。
彼は、人の福祉(暮らしの良さ)を財や所得の量だけで測る考え方を批判した。同じ所得があっても、病気や障害のある人、教育を受けられなかった人は、健康な人と同じ生活を実現できるとは限らない。財はあくまで手段であり、大切なのは、その人が財を用いて実際に何であることができ、何をなしうるかである。
こうした、健康である、教育を受ける、社会に参加するといった、実現可能な生き方や活動(機能)の選択の幅を、センは潜在能力(ケイパビリティ)と呼んだ。福祉の平等とは、財の均等配分ではなく、潜在能力の保障でなければならない。
この考え方は、平均所得だけでは測れない各国の生活の質を測る国連の人間開発指数の理論的基礎となり、また一人ひとりの生存と尊厳を守る人間の安全保障の理念にも生かされている。
ひっかけポイント
所得の平等化やGDPの増大と同一視する選択肢は、まさにセンが批判した発想。財の量ではなく、できることの幅(潜在能力)で評価する、が核心。
選択肢の確認
①「福祉は、人々の所得さえ平等にすれば十分に実現される」
❌ 誤り。
同じ所得でも健康や教育などの条件で実現できる生活は異なるため、所得の平等だけでは福祉は保障されないとセンは論じた。
②「福祉は、無知のヴェールの下での合意によって定義されるべきである」
❌ 誤り。
無知のヴェールの下の合意はロールズの正義論の方法であり、センの潜在能力アプローチとは異なる。
③「福祉は、国内総生産の増大とまったく同じものである」
❌ 誤り。
国内総生産の増大と福祉を同一視する見方こそ、人間開発指数の基礎となったセンの立場が批判したものである。
④「福祉は、財の量そのものではなく、財を用いて実現できる生き方や活動の幅によって評価すべきである」
✅ 正しい。
正解。センは、福祉を財の量ではなく、財を用いて実現できる生き方や活動の幅、すなわち潜在能力によって評価すべきだとした。
覚えるポイント
- 潜在能力=実現できる生き方・活動の選択の幅
- 財・所得は手段にすぎず福祉の尺度として不十分
- 人間開発指数や人間の安全保障の理論的基礎
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。