RN8-041|公共・倫理 対策問題
センの貧困・飢饉についての研究の説明として最も適切なものはどれか。
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正解: 3
正解
飢饉は食料の絶対量の不足だけでなく、人々が食料を手に入れる権利や仕組みの崩壊によっても生じると論じた
この問題のポイント
センの飢饉研究の核心を問う。飢饉の原因を食料の総量不足ではなく、食料を入手する権利の喪失に求めた点がポイント。
解説
センは、少年時代に故郷ベンガルで大飢饉を目撃した経験から、貧困と飢饉の研究に取り組んだ。
彼の研究が覆したのは、飢饉は食料の絶対量の不足によって起こる、という常識である。実際の飢饉を分析すると、地域全体では食料が足りていたのに、大量の餓死者が出た例が少なくない。飢饉の本当の原因は、失業や価格の高騰、賃金の暴落などによって、特定の人々が食料を手に入れる権利や手立て(エンタイトルメント)を失うことにある。だから同じ不作でも、所得の保障や公的な支援の仕組みがあれば餓死は防げる。
さらにセンは、民主主義と報道の自由のある国では大規模な飢饉が起きていないと指摘した。政府が世論と選挙による批判にさらされ、飢餓の兆候が報道によって明るみに出るため、対策を迫られるからである。
貧困を単なる低所得ではなく潜在能力の剥奪と捉える彼の視点は、開発援助や社会保障の考え方を大きく変えた。
ひっかけポイント
人口増加が食料生産を上回るという説明は19世紀のマルサス『人口論』の発想で、センが乗り越えた考え方。入手する権利の崩壊、という視点が彼の独自性である。
選択肢の確認
①「飢饉は市場の働きに任せておけば、必ず自動的に解消されると論じた」
❌ 誤り。
市場任せで自動的に解消されるどころか、価格高騰や賃金暴落という市場の動きが入手の権利を奪うことがあるとした。
②「飢饉の防止にとって、民主主義や報道の自由は無関係であると論じた」
❌ 誤り。
センはむしろ、民主主義と報道の自由のある国では大規模な飢饉が起きていないと指摘した。
③「飢饉は食料の絶対量の不足だけでなく、人々が食料を手に入れる権利や仕組みの崩壊によっても生じると論じた」
✅ 正しい。
正解。センは、飢饉が食料の絶対量の不足だけでなく、食料を手に入れる権利や仕組みの崩壊によっても生じることを実証的に示した。
④「飢饉はもっぱら、人口の増加が食料生産の増加を上回ることによって生じると論じた」
❌ 誤り。
人口増加が食料生産を上回るという説明はマルサスの図式であり、総量が足りていても飢饉が起きた事例をセンは示した。
覚えるポイント
- 飢饉の原因は総量不足より入手の権利の崩壊
- 民主主義と報道の自由が飢饉を防ぐと指摘
- 貧困=潜在能力の剥奪という捉え直し
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。