RN9-083公共・倫理 対策問題

倫理D 現代の諸課題と倫理(4) 家族・地域社会と共生

心理学者ギリガンが提唱したケアの倫理についての説明として最も適切なものはどれか。

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正解: 4

正解

普遍的な原理から正しさを導く正義の倫理に対し、具体的な関係の中で相手の必要に応え配慮し合う責任を重んじる倫理のあり方を提唱した

この問題のポイント

ケアの倫理と正義の倫理の対比を理解しているかを問う。具体的な関係性への応答という発想の転換が核心。

解説

アメリカの心理学者ギリガンは、道徳性の発達を、公平や権利という普遍的な原理の適用能力で測る従来の心理学(コールバーグの理論)が、男性的な正義の倫理を一方的に基準にしていると批判した。
彼女は『もうひとつの声』で、女性たちの道徳的な語りには、抽象的な原理よりも、目の前の具体的な相手との関係を保ち、その必要(ニーズ)に応え、傷つけずに配慮する責任を重んじる別の声があると論じた。これがケアの倫理である。
ケアの倫理は、人間を自立した独立の個人とみる近代倫理の人間観に対し、人は誰もが依存し合い、ケアし合う関係の中で生きているという事実から出発する。この視点は、育児・介護などのケア労働の価値の見直しや、福祉・看護の倫理、そして正義とケアをどう結びつけるかという現代倫理学の議論へと発展している。

ひっかけポイント
ケアの倫理を性別役割分業の擁護と混同させる誤答が定番。ケア労働を特定の性に押しつける考え方への批判も含む理論である。

選択肢の確認

①「ケアの倫理とは、家族の世話はすべて女性が担うべきだと主張する伝統的な性別役割分業の理論である」
誤り。
誤答理由: ケアの倫理はケア労働の価値の見直しを求める理論であり、女性への役割の固定を主張するものではない。むしろそうした押しつけへの批判を含む。

②「ケアの倫理は、人間関係への配慮を排して抽象的な規則への服従だけを求める理論である」
誤り。
誤答理由: ケアの倫理は抽象的な規則よりも関係への配慮を重んじる立場であり、規則への服従だけを求めるという説明は正反対である。

③「ケアの倫理は医療や介護の技術のことであり、倫理学の考え方とは関係がない」
誤り。
誤答理由: ケアの倫理は倫理学の理論であり、医療・介護の技術そのものではない。看護や福祉の倫理に影響を与えているのはその応用である。

④「普遍的な原理から正しさを導く正義の倫理に対し、具体的な関係の中で相手の必要に応え配慮し合う責任を重んじる倫理のあり方を提唱した」
正しい。
正解。ギリガンは、普遍的原理から正しさを導く正義の倫理に対し、具体的な関係の中で相手の必要に応え配慮する責任を重んじるケアの倫理を提唱した。

覚えるポイント

  • ギリガンは正義の倫理に対しケアの倫理を提唱
  • 具体的関係の中の配慮と応答の責任を重視
  • 人間を相互に依存し合う存在としてとらえ直す

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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