RN9-084|公共・倫理 対策問題
多文化共生の実現に向けた考え方についての説明として最も適切なものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 3
正解
自民族の文化を基準に他文化を劣ったものとみなすエスノセントリズムを排し、それぞれの文化の固有の価値を尊重し合いながら対等な関係を築こうとする考え方が基本となる
この問題のポイント
多文化共生の基本となる文化相対主義的な態度と、エスノセントリズム・同化主義との区別を問う。
解説
国境を越えた人の移動が進み、日本でも外国にルーツを持つ住民が増えるなか、異なる文化を持つ人々が対等な関係で共に生きる多文化共生が課題となっている。
その出発点は、自民族・自文化を基準として他の文化を野蛮・劣等とみなすエスノセントリズム(自民族中心主義)の克服である。文化人類学が育てた文化相対主義は、それぞれの文化はそれぞれの環境と歴史の中で形成された固有の価値を持ち、文化の間に優劣はないとする見方であり、多文化共生の基本的な態度となる。
また、少数派に多数派の文化への同化を強いる同化主義も、共生とは異なる。共生は互いの文化を尊重し合う双方向の関係である。
ただし、文化相対主義を口実に人権侵害の慣習まで容認してよいのかという難しい問題(文化と普遍的人権の緊張)も議論されており、対話を通じた調整が求められる。
ひっかけポイント
同化の強制を共生と呼ぶ選択肢、相対主義を人権侵害の容認にまで広げる選択肢が定番の誤り。対等な尊重と普遍的人権の両立が鍵。
選択肢の確認
①「文化の違いを尊重するとは、人権侵害を含むいかなる慣習にも一切異議を唱えないことを意味する」
❌ 誤り。
誤答理由: 文化相対主義を人権侵害の容認にまで広げることには批判があり、文化の尊重と普遍的人権の保障との調整が課題とされている。
②「自らの文化に誇りを持つことは、他の文化を貶めることと常に同じである」
❌ 誤り。
誤答理由: 自文化への誇りと他文化の尊重は両立しうる。誇りが必ず他文化の蔑視になるという説明は誤りである。
③「自民族の文化を基準に他文化を劣ったものとみなすエスノセントリズムを排し、それぞれの文化の固有の価値を尊重し合いながら対等な関係を築こうとする考え方が基本となる」
✅ 正しい。
正解。多文化共生の基本は、自文化を基準に他文化を劣位に置くエスノセントリズムを排し、文化相対主義の見方に立って各文化の固有の価値を尊重し合うことである。
④「多文化共生とは、少数派の人々が多数派の文化に完全に同化することによって実現されるものである」
❌ 誤り。
誤答理由: 少数派に多数派の文化への同化を強いる同化主義は、互いの文化を尊重し合う共生とは異なる考え方である。
覚えるポイント
- エスノセントリズムの克服が多文化共生の出発点
- 文化相対主義は文化間の優劣を否定する見方
- 同化の強制は共生ではなく人権との調整も課題
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。