KO8-004公共・政治経済 対策問題

公共A 公共の扉(2) 人間としての在り方生き方

トロッコ問題の変形で、橋の上の大柄な人を突き落とせば5人が助かるとしても、そうすべきでないと判断する立場の根拠として最も適切なものはどれか。

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正解: 2

正解

人を他の人々を救うための単なる手段として扱うことは許されないから

この問題のポイント

1人を積極的に犠牲にする行為への反対根拠を問う。カントの義務論の「人格を手段としてのみ扱うな」という原則が答え。

解説

橋の上の人を突き落とす場面では、多くの人が進路切り替えの場面よりも強い抵抗を感じる。この直観を説明するのがカント義務論である。
カントの定言命法は、人格を「単に手段としてのみ扱わず、常に同時に目的として扱え」と命じる。突き落とす行為は、その人の身体を5人を止めるための道具として利用することにほかならず、結果として救われる人数が多くても許されない、と考えるのである。
一方、功利主義の立場を貫けば、この場面でも「1人の犠牲で5人が助かるなら幸福の総量は増える」という結論になりうる。同じ結果でも手段や動機によって道徳的評価が変わるのか、という論点が、この思考実験の核心である。
共通テストでは、会話文中の生徒の発言がどちらの立場かを判定させる出題が多い。理由の言葉づかいに注目して立場を見分ける練習をしておきたい。

ひっかけポイント
「助かる保証がない」という理由は結果の不確実性の話であり、義務論の根拠ではない。義務論はたとえ確実に助かるとしても手段化を許さない。

選択肢の確認

①「多数決で決めたわけではないから」
誤り。
多数決の有無は道徳的な正しさの根拠ではなく、義務論が問題にするのは人格の手段化そのものである。

②「人を他の人々を救うための単なる手段として扱うことは許されないから」
正しい。
正解。突き落とす行為はその人を5人を救う道具として利用することであり、人格を単なる手段として扱うことを禁じるカントの定言命法に反する。

③「5人の命の価値は1人の命の価値より常に小さいから」
誤り。
5人の命の価値が1人より小さいという比較は功利主義的な計算としても成り立たず、義務論の根拠でもない。

④「突き落としても5人が助かる保証はないから」
誤り。
結果の不確実性を理由とする判断は結果主義の枠内の議論であり、確実に助かるとしても許されないとする義務論の根拠ではない。

覚えるポイント

  • 義務論は人格の手段化そのものを禁止する
  • 功利主義なら犠牲1人でも幸福の総量で正当化しうる
  • 結果が同じでも手段・動機で評価が分かれるのが核心

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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