PE9-018|公共・政治経済 対策問題
比較生産費説に基づく自由貿易に対して指摘される問題点として最も適切なものはどれか。
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正解: 1
正解
特化が進むと産業構造が偏り、衰退する産業の労働者に失業などの調整の痛みが生じる
この問題のポイント
自由貿易の理論的な利益と、現実に生じる調整コストの両面を評価できるかを問う。理論の限界を突く共通テスト的な出題である。
解説
比較生産費説は、特化と貿易で世界全体の生産量が増えることを示すが、その利益が国内の全ての人に行き渡るとは限らない。
- 比較優位を失った産業では工場閉鎖や失業が生じ、労働者の転職・再訓練には時間と費用がかかる
- 特定の産業に特化しすぎると、価格変動や供給網の途絶に弱いモノカルチャー経済的な脆弱性を抱える。発展途上国の一次産品依存はその典型である
- 食料やエネルギー、半導体のような戦略物資を輸入に依存する不安(食料安全保障・経済安全保障の問題)も指摘される
このため各国は、自由貿易の利益を追求しつつ、衰退産業の労働者への支援や重要物資の供給網強化を組み合わせている。リストの保護貿易論(幼稚産業保護)も、この文脈で再評価されることがある。
ひっかけポイント
「自由貿易は全員を豊かにする」と「自由貿易は損しか生まない」の両極端がともに誤り。全体の利益と国内の分配問題を分けて評価する。
選択肢の確認
①「特化が進むと産業構造が偏り、衰退する産業の労働者に失業などの調整の痛みが生じる」
✅ 正しい。
正解。特化が進むと比較劣位産業は縮小し、そこで働く労働者には失業や転職の費用という調整の痛みが生じる。自由貿易の全体利益と国内の分配問題は区別して評価する必要がある。
②「特化と貿易により世界全体の生産量は必ず減少する」
❌ 誤り。
誤答理由: 比較生産費説の結論は特化と貿易による世界全体の生産量の増加であり、必ず減少するという記述は理論の内容と正反対である。
③「貿易の利益は理論上、輸入国には一切生じない」
❌ 誤り。
誤答理由: 貿易の利益は安い財を消費できる輸入国側にも生じる。輸入国に利益がないという理解は理論と異なる。
④「比較優位は全ての国で永久に変化しない」
❌ 誤り。
誤答理由: 比較優位は技術進歩や産業構造の変化で移り変わる。永久に固定されるという前提は誤りで、だからこそ産業調整が問題になる。
覚えるポイント
- 特化の裏で衰退産業に失業などの調整コスト
- 一次産品への特化はモノカルチャー経済の脆弱性
- 戦略物資の輸入依存は経済安全保障の論点
共通テスト攻略
- 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
- 比較軸をそろえる:二つの時代・地域を、政治の担い手、土地・税制、対外関係、社会への影響など同じ軸で比べ、共通点と相違点を混同しない。
- 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。