PE9-025公共・政治経済 対策問題

政治・経済B 現代日本の経済(2) 金融と財政

現実の経済で財政支出の乗数効果が理論値より小さくなる要因として最も適切なものはどれか。

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正解: 3

正解

増えた所得の一部が輸入品の購入や貯蓄に回り、国内需要の連鎖から漏れていくこと

この問題のポイント

乗数効果を弱める「漏れ」の概念を問う。貯蓄・輸入・租税という3つの漏出経路の理解が核心。

解説

乗数効果は「支出 → 所得 → 消費 → 所得…」という需要の連鎖で生まれる。この連鎖の途中で、国内の消費需要に回らないお金が多いほど、乗数は小さくなる。漏れの経路は主に3つある。

  • 貯蓄:所得増加分のうち消費されない部分。限界消費性向が小さいほど漏れが大きい
  • 輸入:消費が輸入品に向かうと、その需要は海外の所得になり国内の連鎖から抜ける
  • 租税:所得増加に伴う税負担の増加も可処分所得を減らす
    貿易依存度が高い経済ほど輸入への漏れが大きく、財政政策の国内への効果は小さくなる。また、将来不安から人々が消費を控え貯蓄に励む状況でも乗数は低下する。1990年代以降の日本で公共事業の景気刺激効果が小さくなったと指摘される背景にも、こうした漏れの拡大がある。

ひっかけポイント
限界消費性向の上昇や輸入ゼロは乗数を「大きく」する条件であり、選択肢の向きの逆転に注意。漏れが大きいほど乗数は小さい。

選択肢の確認

①「経済で輸入が全く行われていないこと」
誤り。
誤答理由: 輸入が全くなければ海外への漏れが存在せず、乗数は大きくなる。輸入の存在こそが乗数を弱める。

②「限界消費性向が1に近づくこと」
誤り。
誤答理由: 限界消費性向が1に近づくと乗数1÷(1−c)は大きくなる。乗数を小さくするのは消費性向の低下である。

③「増えた所得の一部が輸入品の購入や貯蓄に回り、国内需要の連鎖から漏れていくこと」
正しい。
正解。増えた所得のうち貯蓄・輸入・租税に回る部分は国内の消費需要の連鎖から漏れるため、漏れが大きいほど現実の乗数は理論の単純計算より小さくなる。

④「人々が所得の増加分を全て国内での消費に回すこと」
誤り。
誤答理由: 所得増加分が全て国内消費に回るなら漏れがなく、乗数はむしろ最大限に働く。乗数を小さくする要因ではない。

覚えるポイント

  • 乗数を弱める漏れは貯蓄・輸入・租税
  • 開放経済(輸入が多い)ほど乗数は小さい
  • 将来不安による貯蓄増も乗数を低下させる

共通テスト攻略

  • 知識を関係で再現:用語を単独で思い出すだけでなく、「いつ・誰が・何のために・何を行い・何が変わったか」を一続きにして選択肢と照合する。
  • 因果の向きを確認:時期が近いだけで結び付けず、「原因→政策・行動→結果」の順に置き、主体と目的がつながるかを確かめる。
  • 消去の軸を固定:各選択肢を「時期・主体・目的・内容・結果」に分け、一か所でも歴史的対応がずれるものを消す。語句が一部合うだけで選ばない。

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